2019年8月1日から8月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2019年8月の新刊 上」を掲載しました。
今回は小学館文庫から刊行される、山本音也さんの『新選組最後の勇士たち』をとり上げます。
著者の山本音也さんは、2002年に『好色一代男』で知られる井原西鶴を描いた『偽書西鶴』で第9回松本清張賞を受賞(単行本化に際して『ひとは化けもんわれも化けもん』に改題)し、ほかに『天上の花の雨』などの時代小説作品があります。
新選組最後の隊長・相馬主計と元隊士・安富才助。
土方歳三の最期を看取ったふたりは、戦いでそれぞれ腕と指を失ったものの、明治の世へと生き残った――。
流刑での島暮らしのなか、思わぬ邂逅と確執を経たふたりの人生は「御一新」の荒波に翻弄されていく。
痛切のラストまで一気読み必至! 松本清張賞作家が人の生き様、心の痛みを精緻に描ききった傑作時代小説!!(Amazonの内容紹介より)
著者は、本書で、第10回舟橋聖一文学賞を受賞しています。今回文庫化に際して、単行本刊行時の『本懐に候』から改題しています。
相馬主計は、明治二年に箱館戦争において新選組が降伏する際、戦死した土方歳三に代わって隊長として署名したため、新選組最後の隊長と言われています。
常陸国笠間藩藩士の子で、慶応元年に脱藩して幕府の歩兵徴募に応じて長州征伐軍に参加後に新選組に入隊しました。新選組の幕を引く重要な役割を演じながらも、時代小説に描かれることが少ない人物です。
相馬主計を描いた作品では、中村彰彦さんの『明治新選組』に表題作として収録された短編を思い出します。
さて、本書では明治に生き残った新選組の隊士たちの生き様と心の痛みを読み解きたいと思います。
■Amazon.co.jp
『新選組最後の勇士たち』(山本音也・小学館文庫)
『ひとは化けもんわれも化けもん』(山本音也・文春文庫)
『明治新選組』(中村彰彦・角川文庫)