市井人情

神田堀八つ下がり―河岸の夕映え(3)

『神田堀八つ下がり―河岸の夕映え (徳間文庫)』に収録された「浮かれ節――竈河岸」は、ハートウオーミングなお話だ。主人公の三土路保胤(みどろやすたね)は、幕府の小普請組に所属する御家人で大の端唄好き。非役で三千石以上の旗本を寄合(よりあい)...
市井人情

神田堀八つ下がり―河岸の夕映え(2)

宇江佐真理さんの『神田堀八つ下がり―河岸の夕映え (徳間文庫)』を気持ちよく読み終えた。前作『おちゃっぴい―江戸前浮世気質 (徳間文庫)』に続く、江戸の市井をテーマにしたコンセプチュアルな短篇集。一話一話の登場人物たちは関係しないが、江戸の...
捕物

鬼勘犯科帳―初代火盗改・中山勘解由(2)

池波正太郎さんが亡くなられてから16年。もう、『鬼平犯科帳』の新作が読めないんだなと思うと、時折なんとも切なくなる。いくつかの作品で、長谷川平蔵が登場することがあった。それは、池波さんの鬼平とはまったく別のキャラクターとして描かれてきた。オ...
大正・昭和

遭敵海域(2)

C・W・ニコルさんの『遭敵海域 (文春文庫)』を読了した。第一次世界大戦直前から勃発までを描いた戦争小説である。紀州太地の鯨捕りの若者甚助の活躍を描いた海洋時代小説の傑作『勇魚〈上〉 (文春文庫)』からの流れで、読み続けているが、時代は大正...
伝奇

闇と影の百年戦争(1)

今日の朝日新聞の「be on Saturday」に大丸の奥田務社長が登場した。大丸は、1717年京都伏見に開業と書かれていた。享保二年にあたるから八代将軍吉宗の頃である。下村彦右衛門正啓が初代。南原幹雄さんの『闇と影の百年戦争 (徳間文庫)...