市井人情

江戸の料理茶屋ときたな細工

宇江佐真理さんの『涙堂 琴女癸酉日記 (講談社文庫)』を読んでいたら、料理茶屋について、主人公の高岡琴が日記に綴っている箇所があり、興味深かった。『賀太郎、王子へ出かける。王子稲荷前の海老屋は近ごろ評判の料理茶屋なり。王子には他に扇屋あり。...
人物

井原西鶴と松本清張賞

山本音也さんの『ひとは化けもんわれも化けもん (文春文庫)』を購入。第9回松本清張賞受賞作ということで、気になっていた一冊。しかも江戸時代を代表する作家・井原西鶴が主人公で、『好色一代男』のみ自作という設定。それでは『日本永代蔵』や『世間胸...
剣豪

小判改鋳と一放流剣術

『竜門の衛 (徳間文庫)』以降、幕府内の権力闘争を題材にした伝奇小説を次々と発表している上田秀人さん。彼の作品はいずれも読み出したら止められない、ノンストップエンターテインメント時代小説ばかり。最新文庫の『破斬―勘定吟味役異聞 (光文社時代...
市井人情

十干って難しくて苦手

宇江佐真理さんの最新文庫『涙堂 琴女癸酉日記 (講談社文庫)』を入手する。タイトルに書かれた「癸酉(きゆう)」は十干と十二支を組み合わせて表記する干支で、「みずのと・とり」のこと。とはいえ、何番目を指すのかよくわからない。古代の中国の思想で...
中国

富貴花と累卵の戯

森福都さんの『長安牡丹花異聞 (文春文庫)』を読み終える。唐の都・長安に住む、利発な少年黄良は病の母のために、夜に輝く牡丹を発明する。唐代、花といえば富貴花、すなわち牡丹のことを指し、一株の牡丹に数万銭を費やすものもいた。混血の偉丈夫崔融と...