幕末維新

山南敬助の切腹の真相

北方謙三さんの『黒龍の柩』を読み始めた。土方歳三を中心に、新選組を描いた長編小説である。北方さんの時代小説らしく、年号が記されないまま、物語が進むので、歴史を意識しないで現代ものと同じ感覚で読める。北方さんの時代小説は、短文を畳み掛けるよう...
市井人情

不正建築と時代小説

一級建築士が構造計算書を偽造したことによる、耐震性が基準の1/4というマンションのことが連日ニュースをにぎわせている。マンションの居住者や建築関係者には、生活や人生がかかっているので、なんとも傷ましい思いがするが、あきらめずにがんばってほし...
伝奇

陰陽師・坂崎出羽守

唇が数日前から腫れて引きつるような痛みがあり、病院に行った。医師は、患部をルーペで見て「ヘルペスですね」とあっさり言った。自分の唇ながらちょっと気味が悪い感じ。やだなあ。荒山徹さんの『十兵衛両断』を読んでいる。柳生家を軸にした連作形式の短篇...
伝奇

加賀藩筆頭家老本多政重の謎

上田秀人さんの『蜻蛉剣』に、加賀藩前田家筆頭家老本多政重の話が出てくる。徳川家康の謀臣本多佐渡守正信の四男で、宇都宮城吊り天井事件で失脚した本多正純の弟。秀忠の寵臣岡部荘八を殺害後、徳川家を逐電し、正木左兵衛と名乗って宇喜多秀家、福島正則に...
伝奇

田沼意次vs.将軍家見聞役三田村元八郎

歴史上の人物で好きな人は?と聞かれると、田沼意次と答えることが多い。毀誉褒貶が著しいことと、栄光と挫折が人生の中に見られること、当時としては画期的なマクロ的なものの見方などから、評価している。それだけに、時代小説において、ヒーローとして描い...