捕物

鎌倉河岸の若者群像

佐伯泰英さんの「鎌倉河岸捕物控」シリーズの第9弾『道場破り』を読み始めた。江戸城御曲輪内と堀を挟んで向かい側の鎌倉河岸の老舗の酒問屋豊島屋に集う若者たち(政次、亮吉、彦四郎、しほ)の青春を描く連作形式の捕物時代小説。豊島屋は、「山なれば富士...
剣豪

「天下騒乱」を見逃したのは痛い

池宮彰一郎さんの『天下騒乱 鍵屋ノ辻』を読了。単なる仇討ち劇の描写にとどまらず、江戸政権確立期の大事件として、スケール感大きく描かれていて面白かった。他の作品では脇役や敵役に回ることが多い、老中土井利勝の存在感が圧倒的。家康以後の幕府の統治...
伝奇

蘭奢待を切り取りし者は?

1月15日の朝日新聞の朝刊に、奈良・東大寺にある正倉院所蔵の伝説的香木「蘭奢待(らんじゃたい)」に38カ所の切り取り跡があることが、大阪大学の米田該典・助教授(薬史学)の調査で明らかになった、という記事が載っていた。「蘭奢待」の正式名は「黄...
剣豪

鍵屋の辻の決闘について

前日に続いて『天下騒乱 鍵屋ノ辻』を読んでいる。荒木又右衛門の「鍵屋の辻の決闘」を幕藩体制の確立とあわせて描く傑作である。「鍵屋の辻の決闘」について少し書いてみたい。岡山藩藩主池田忠雄の寵愛の小姓渡辺源太夫が藩士河合又五郎に殺害し、江戸に逃...
剣豪

旗本vs.外様大名、勝ったのはどっち?

今、池宮彰一郎さんの『天下騒乱 鍵屋ノ辻』を読んでいる。この物語を読んでいると、江戸初期の幕府の統治方針や武士たちの処世観がよくわかり興味深い。140年にわたる戦国時代の終焉がもたらしたものとは何か?作者の池宮さんは、戦がなくなることにより...