武家

乙川優三郎さんの武家小説

通勤電車の中で、乙川優三郎さんの『武家用心集』を読み始める。乙川さんは、この短編集で第10回中山義秀文学賞を受賞している。武士の(家の)生活や生き方をテーマに描いた武家ものとか、士道小説という。藤沢周平さんの『蝉しぐれ』や『たそがれ清兵衛』...
女性

幕末維新の混乱を描く短篇

牧南恭子さんの『女泣川花ごよみ』を読了。新鋭作家の時代小説作品集だが、期待に違わず面白く読める短篇ばかりだった。「塩なめ地蔵」三十年ぶりにかつての教え子が突然現れ、寺子屋の師匠の胸に去来した思いは……。「田楽屋敷」田楽屋敷と呼ばれる上屋敷の...
女性

市井小説には深川が似合う

牧南恭子さんの『女泣川花ごよみ』を読んでいる。深川を東西に流れる小名木川沿いに暮らす人々を描いた八編の短篇を収録した作品集である。初めて読む作家の方なので、どんな展開になるのか手探りで読み進めている。「花筏(はないかだ)」中川船番所の下役人...
伝奇

剣客の業を感じさせる剣豪小説

荒崎一海さんの『闇を斬る 四神跳梁』を読了。主人公の鷹森真九郎は、今治藩を脱藩して、妻の雪江とともに江戸に暮らしている。直心影流十二代目の団野源之進道場で師範代を務め、師の代稽古として柳河藩江戸屋敷に通うことで、生計を立てていた。霊岸島一の...
伝奇

馬庭念流の刺客は珍しい?

『四神跳梁』を読んでいる。シリーズ第三弾にあたる本作品で、主人公の鷹森真九郎の直心影流の剣はますます冴えを見せる。江戸を震撼させる謎の集団、闇が送る刺客たちを次々と倒していき、ある種のカタルシスを感じる。諏訪大膳という刺客が、柳河藩下屋敷か...