シェア型書店「ほんまる」で、「時代小説SHOW」かわら版を無料配布
伝奇

上田秀人版の『吉原御免状』

隆慶一郎さんの『吉原御免状』を初めて読んだときのコーフンと感動は、未だにうまく表現できない。類稀な想像力の昇華、第一級のエンターテインメントとロマンあふれる上質の文学性が堪能できる、伝奇時代小説のもつ懐の広さ、神髄をそこに見た思いがした。 ...
市井人情

「かわせみ」文庫新作と野老沢

平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」シリーズの第31巻、文庫の最新作『江戸の精霊流し』を読んだ。 「かわせみ」を読んでいると、江戸の四季が抒情的に描かれていて、現在の東京の喧騒を忘れて、しばし和める時間がもてる。今回の巻では、お盆の精霊流しのよう...
人物

平賀源内の生涯を振り返る時代長編

諸田玲子さんの『恋ぐるい』を読んだ。単行本刊行時(2002年、新潮社)のタイトルは、『源内狂恋』だったもの。女性の情愛を描くことでは、定評のある諸田さんがどんなふうに江戸の才人・平賀源内を描くのか興味津々だった。 平賀源内というと、小学生の...
伝奇

「闇を斬る」と町奉行所同心の給料

荒崎一海さんの『闇を斬る 残月無情』を読んだ。『直心影流龍尾の舞い』『刺客変幻』『四神跳梁』に続くシリーズ第四作めにあたる。 主人公の鷹森真九郎は、今治藩の目付役を務めていたが、藩内の抗争に巻き込まれて、妻の雪江を伴って出奔し、江戸で直心影...
幕末維新

井伊直弼と近江商人

幸田真音さんの『あきんど 絹屋半兵衛』(上・下)を読了した。読み始める前、単行本刊行時のタイトル『藍色のベンチャー』のままのほうがいいのではないかと思っていたが、最後まで読んでみると、改題した訳が納得いった。 幸田さんは、『小説ヘッジファン...