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武家

海坂藩もの+乙川作品÷2の魅力

今井絵美子さんの『雀のお宿』を読んだ。何かマージャンの本みたいなタイトルだが、瀬戸内の一藩(瀬戸藩=架空)を舞台にした連作形式の時代小説。前作の『鷺の墓』に続くシリーズ第二弾であり、武家社会を生きる男女を情感豊かに描く全五編を収録している。...
ユーモア

紀伊国屋文左衛門とみかん伝説

米村圭伍さんの『紀文大尽舞』を読み始めた。 「沖の暗いのに白帆がみえる あれは紀の国蜜柑船」 と、カッポレの唄にも歌われた、紀伊国屋文左衛門のみかん伝説が紹介されていた。 貞享二年(1685)の秋、紀州有田は、例年になくみかんが大豊作だった...
江戸

もっと読みたかった幽霊丸の話

笹沢左保さんの遺作である『海賊船幽霊丸』を読み終えた。未完で、最終章を森村誠一さんが補筆したことでも、注目される海洋時代小説である。 関ヶ原の合戦から九年、伊予水軍の主流・来島海賊衆を率いた湯野新八郎は、瀬戸内の無人島で八割がた完成した軍船...
幕末維新

榎本武揚さん、嫌っていてゴメンナサイ

佐々木譲さんの『幕臣たちと技術立国』を読んだ。日本の近代化に命を懸けた三人の幕臣を描いた歴史読み物である。明治維新が近代の「夜明け」という従来の通念に対して、開国に始まる幕末にすでに近代は始まっていたという著者の論旨が新鮮で、かつ理解しやす...
作家

新人作家の応援団を務める森村誠一さん

今井絵美子さんの『雀の宿』を読み始めた。『鷺の墓』に続く瀬戸内の小藩の藩士・保坂市之進を主人公とした、連作シリーズの第2弾である。 今井さんは、2003年に「小日向源伍の終わらない夏」で第10回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞を受賞されて...