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医療

江戸の歯医者さんが探偵役

和田はつ子さんの『口中医桂助事件帖 南天うさぎ』を読んだ。主人公の藤屋桂助は、二十歳をいくつか出た年で、長崎で修業を積んだ口中医(歯と口の医者)。実家は、日本橋随一の呉服問屋。 当時、口中医は兼康家、親康家など代々世襲が多く、こうした格式あ...
伝奇

小江戸川越と天海僧正

梅雨の晴れ間の一日、川越散策に出かける。川越は二回目だったが、シルバー案内ボランティアの方にガイドをしていただき、貴重な話がたくさん聞けて、新しい発見が多く、大いに歴史の勉強になった。 約半日(四時間)のコースは、以下の通り。 本川越駅→喜...
武家

海坂藩もの+乙川作品÷2の魅力

今井絵美子さんの『雀のお宿』を読んだ。何かマージャンの本みたいなタイトルだが、瀬戸内の一藩(瀬戸藩=架空)を舞台にした連作形式の時代小説。前作の『鷺の墓』に続くシリーズ第二弾であり、武家社会を生きる男女を情感豊かに描く全五編を収録している。...
ユーモア

紀伊国屋文左衛門とみかん伝説

米村圭伍さんの『紀文大尽舞』を読み始めた。 「沖の暗いのに白帆がみえる あれは紀の国蜜柑船」 と、カッポレの唄にも歌われた、紀伊国屋文左衛門のみかん伝説が紹介されていた。 貞享二年(1685)の秋、紀州有田は、例年になくみかんが大豊作だった...
江戸

もっと読みたかった幽霊丸の話

笹沢左保さんの遺作である『海賊船幽霊丸』を読み終えた。未完で、最終章を森村誠一さんが補筆したことでも、注目される海洋時代小説である。 関ヶ原の合戦から九年、伊予水軍の主流・来島海賊衆を率いた湯野新八郎は、瀬戸内の無人島で八割がた完成した軍船...