伝奇

「蜻蛉切り」をめぐる捕物帳

伊藤致雄(いとうむねお)さんの『蜻蛉切り』を読んだ。幕府目付の天童兵庫と南町奉行所定町廻り同心の本山伊織のコンビが活躍する捕物小説「兵庫と伊織の捕物帖」の第二弾である。第一作の『吉宗の偽書』がスケールが大きく伝奇色もある傑作だったので、期待...
市井人情

安倍晴明の式神を祖とする譜代陰陽師

江戸から離れて京を舞台とした時代小説が読みたくなって、久々に澤田ふじ子さんの『狐官女(きつねかんじょ)』を読んだ。『大盗の夜』『鴉婆』に続く「土御門家・陰陽事件簿」シリーズの第三弾である。狐官女 土御門家・陰陽事件簿(三) (光文社文庫)作...
ミステリー

シーボルトってスパイだったの!?

秦新二さんの『文政十一年のスパイ合戦 検証・謎のシーボルト事件』を読んだ。双葉文庫から出されてる「日本推理作家協会賞受賞作品全集」に収録される形で昨年15年ぶりに復刊された作品だが、読み始めるまで、てっきり時代ミステリー小説だと思っていた。...
ドラマ

『密命』榎木孝明さん主演でTV時代劇化

佐伯泰英さんの「密命」シリーズが、4月よりテレビ東京系で時代劇化されるそうだ。「密命 寒月霞斬り!(仮)」(4月18日スタート、金曜・午後8時)で、主人公の金杉惣三郎役は榎木孝明さん。大御所の俳優さんの起用でなく、原作のイメージに近いキャス...
ミステリー

北重人さんの時代小説『夏の椿』にゾッコン

ああ、面白い時代小説を読んだ。前から気になっていた新鋭作家の北重人(きたしげと)さんの『夏の椿』が文春文庫で発売された。この作品は『天明、彦十店始末』の原題で、2004年の第十一回松本清張賞の最終候補に残り、その後加筆訂正されて『夏の椿』と...