大正・昭和

遭敵海域(1)

『遭敵海域 (文春文庫)』を入手した。作者はイギリス生まれで日本在住のC.W.二コルさんで、幕末の日本の捕鯨をテーマにした『勇魚〈上〉 (文春文庫)(下)』が海洋冒険時代小説として最高傑作の一つだった。その後、『勇魚』の主人公鯨捕りの甚助の...
芸道

宗旦狐―茶湯にかかわる十二の短編(5)

『宗旦狐―茶湯にかかわる十二の短篇 (徳間文庫)』を読了する。表題作の宗旦以外は千家の人々は登場しないが、茶の湯にまつわるものや人に題材をとった佳品ばかり。澤田ふじ子さんの作品の美質が表れた短篇集。「仲冬の月」で描かれた「利休七哲」の一人、...
芸道

宗旦狐―茶湯にかかわる十二の短編(4)

澤田ふじ子さんの茶をテーマにした短篇集『宗旦狐―茶湯にかかわる十二の短篇 (徳間文庫)』のことに度々触れてきたが、実に興味の尽きない話題が多い。「愛宕の剣」という短篇では、宇治の茶師の上林家が登場する。茶師は格式によって、御物茶師、御袋茶師...
芸道

非道、行ずべからず(3)

松井今朝子さんの『非道、行ずべからず (集英社文庫)』を読了。タイトルは、世阿弥の『風姿花伝 (岩波文庫)』の中の言葉、「この道に至らんと思はん者は、非道を行ずべからず」から。中村勘三郎の家に代々伝わる扁額に「非道を行ずべからず」を掲げられ...
芸道

宗旦狐―茶湯にかかわる十二の短編(3)

『宗旦狐―茶湯にかかわる十二の短篇 (徳間文庫)』に収録された、「大盗の籠」を読んでいたら、江戸中期に、東海道筋を騒然とさせた大盗賊日本左衛門の腹心第一と言われる中村左膳が登場した。偽名で梶井宮門跡に近習として仕えたと記されている。その中村...