武家青に候―センチメンタリズムが魅力の時代小説 志水辰夫(しみずたつお)さんの時代小説『青に候(あおにそうろう)』を読んだ。私が時代小説専門になる以前に、ハードボイルド・冒険小説のジャンルを中心に読んでいた時期があった。その当時(今から二十年前か)、もっとも愛読していた作家が志水さんであ...武家痛快
伝奇稀代の忍び・風魔の小太郎の生涯を描く大傑作 宮本昌孝さんの『風魔』を読んだ。文庫は上・中・下巻の三分冊だが、読み出したら止められない、一気読みをさせてしまう面白さだった。宮本作品では、『剣豪将軍義輝』や『ふたり道三』の系譜に通じる、スケール感、エンターテインメント性が堪能できる作品で... 2019.09.21伝奇戦国
武家寛政の棄捐令とモラトリアム 亀井金融担当大臣から、返済猶予制度(モラトリアム)の法制化の話が出て、それに対してさまざまな意見が出されている。中小企業やローン返済に困っている人を救済するというこの制度の話を聞いて、松平定信の寛政の改革の一環で行われた棄捐令を思い出した。...武家江戸経済
女性滝沢馬琴ゆかりの女たちの恋愛模様―ゆすらうめ 梓澤要(あずさわかなめ)さんの『ゆすらうめ 江戸恋愛慕情』を読んだ。梓澤さんは、1993年に「喜娘(きじょう)」で歴史文学賞を受賞して作家デビューした。寡作ながらも、奈良時代もの、戦国時代もの、江戸時代ものとさまざまな時代を取り上げている。... 2020.05.04女性市井人情江戸
市井人情江戸時代の京をガイドする時代小説―公事宿事件書留帳 8月に京都に行ってから、断続的に澤田ふじ子さんの「公事宿事件書留帳」シリーズを読んでいる。第十三巻の『雨女』を読み終えた。このシリーズの魅力のひとつに、京の地理や町の成り立ちから、江戸時代の文化、人々の生活、風習まで、物語の中で興味深く読者...市井人情捕物江戸