時代小説●文庫新刊情報|2025年3月中旬の新刊(11日→20日)
2025年3月11日から3月20日にかけて文庫で発売される時代小説の新刊情報をお届けします。おすすめの新刊の紹介文は、Amazonの内容紹介より抜粋・編集しています。各タイトルには、Amazon.co.jpの詳細紹介ページへのリンクを設定しています。 →新刊情報リストを見る
PHP文芸文庫
風野真知雄さんの『象が来たぞぉ(二) くノ一忍湯帖』
仙台藩の忍び・黒脛巾組から逃れた湯煙り権蔵とくノ一・あけびは、「おくの細道」に秘められた金塊の謎を解くため、再び北へ向かいます。
一方、長崎を出発した象は広島へと歩みを進めますが、唐人屋敷の怪しげな一味が付きまとい、密かに護衛を続けるあけびの妹・あわびは気が抜けません。さらに、街道沿いのやくざ者たちも象を狙っているようで――。
ユーモア時代小説の名手が描く、ますます好評の人気シリーズ第2弾。
西條奈加さんの『六つの村を越えて髭をなびかせる者』
時は江戸中期。算学の才能に恵まれた最上徳内は、師の計らいで蝦夷地見分隊に随行することになります。
そこで徳内が目にしたのは、厳しくも美しい北の大地と、和人とは異なる文化の中でたくましく生きるアイヌの人々の姿でした。
少年・フルウたちとの出会いを通じて、徳内の胸には次第にアイヌへの尊敬と友愛が芽生えていきます。
しかし、松前藩との確執、幕府の思惑、そして容赦のない自然の脅威など、彼の行く手には数々の困難が待ち受けていました――。
北の大地に挑んだ男の生きざまを描く、著者渾身の長編小説。
徳間文庫
武内涼さんの『あらごと、わごと 魔王咆哮』
【呪師とは、常人にはない異能を持ち、古来より魔と戦ってきた者たちである】
「汝を討つ! その定めからは逃れられぬ」
血まみれの老呪師は、最期の瞬間、魔王・藤原千方にそう言い放ちました。
「それが、あらごと、わごとのことと千方は信じておる」
ようやく出会えた名呪師・姥の言葉に、あらごとは打ちのめされます。
そんな思い込みのせいで父母は殺され、村は滅ぼされ、二人は追われ続けてきたのか。
しかし、この先、十五もの通力を持つ魔王と戦うためには、“生大刀”“火鼠の皮衣”など各地に散らばる四つの秘宝の力を借りなければなりません。
姥の教えを受け、姉妹は秘宝を求める旅に出ます。
それは魔王との壮絶な争奪戦にして、最終決戦の始まりでもありました――。
圧巻の平安ダーク・ファンタジー、ここに開幕。
馳月基矢さんの『深川ふるさと料理帖二 輪島屋おなつの春待ちこんだて』
故郷の味を提供する店が軒を連ねる「ふるさと横丁」。
その一角にある輪島屋で働くおなつは、蝦夷地の探索を任された許婚・丹十郎の帰りを待ち続けていました。
輪島が恋しくなる海藻鍋に、ぶり大根。
いくら料理に精を出しても、彼は一向に帰ってきません。不安が募るおなつ。
そんなある日、丹十郎の上役である間宮林蔵付きの足軽が、輪島屋を訪れます。
そして、おなつに告げたのです。
「丹十郎は戻らない。今、調べを受けている」と――。
心がじんわりと温まる。
お江戸の郷土料理小説、待望の第2弾!
祥伝社文庫
朝井まかてさんの『ボタニカ』
「おまんの、まことの名ぁを知りたい」
明治初期、土佐・佐川の山中に、草花に話しかける少年がいました。名は牧野富太郎です。
小学校を中退しながらも、独学で植物研究に没頭した富太郎は、「日本人の手で、日本の植物相(フロラ)を明らかにする」ことを志し、上京しました。
東京大学理学部植物学教室への出入りを許され、新種の発見や研究雑誌の刊行など、目覚ましい成果を上げますが、突如として大学を出入り禁止になります。
それでも私財を惜しみなく注ぎ込み、研究を続けますが、気がつけば莫大な借金を抱え、身動きが取れなくなってしまいました……。
貧苦に耐え、恋女房を支えに、不屈の魂で知の種(ボタニカ)を究め続けた、稀代の植物学者・牧野富太郎を描く感動の長編小説です。
富樫倫太郎さんの『火盗改・中山伊織〈三〉 掟なき道』
火盗改長官・中山伊織は、押し込み強盗の一味〈般若党〉を待ち伏せ、壊滅させました。しかし、頭目の妹である十四歳の百音だけは逃げ延びます。
兄たちの末路を知った百音は、伊織への復讐を誓い、火盗改の手下の家に潜り込みました。さらに、弟を捕殺された凶賊・黒地蔵の金兵衛も、新たな仲間を加え、再び凶行を始めます。
忍び寄る復讐の刃に、伊織はまだ気付いていません――。
第3弾は、渾身の書き下ろし時代小説(新作)です。
中島要さんの『吉原と外』
「美晴が男を作ったら、すぐに知らせろ」
二十二歳で奉公先を辞めたお照は、義父・卯平の命により、元花魁が住む妾宅で女中として働くことになりました。
呉服屋・砧屋の婿養子である喜三郎が、美晴を囲っていることは絶対の秘密です。番頭の卯平は、自らを引き立ててくれた喜三郎を守るため、お照に世話をさせることにしました。
それぞれの思惑が交錯する中、お照と美晴の関係は思いがけず深まっていきますが……。
双葉文庫
上田早夕里さんの『上海灯蛾』
1934年、上海。「魔都」と呼ばれるほど繁栄と悪徳に満ちたこの地に、成功を夢見て渡ってきた日本人の青年・吾郷次郎。彼は、原田ユキヱと名乗る謎めいた女性から、極上の阿片と芥子の種を預かります。
次郎は、上海を支配する青幇の一員である楊直と接触しますが、これをきっかけに裏社会へと深く足を踏み入れていきます。彼の行く先は、栄光か、それとも破滅か――。
軍靴の響きが絶えない大陸で、阿片売買による莫大な富と帝国の栄耀に群がる者たち。灯火に惹かれる蛾のように熱狂し、燃え尽きていった男たちの物語です。
千野隆司さんの『おれは一万石(32)-後嗣の祠』
高岡藩井上家待望の嫡子・清三郎が病で亡くなりました。正紀夫妻の悲しみは深く、特に京の嘆きぶりを気遣った勘定頭・井尻の提案により、亀戸の下屋敷に鎮魂のための祠が建てられます。
世継ぎを失った悲しみを乗り越え、必死に前へ進もうとする正紀たち。しかしその矢先、廻漕河岸場方の杉尾と橋本に思わぬ殺人の嫌疑がかかり――。
大人気シリーズ第32弾です。
金子成人さんの『ごんげん長屋つれづれ帖【十】-縁むすび』
幸助とお妙が通う瑞松院の手跡指南所に、春から新しく通い始めた男児・昌吉。お妙の隣に座りながら、新入りとは思えぬほど優秀なようです。
そんな話を聞いたお勝でしたが、お妙が昌吉と瑞松院の隣の寺で楽しげに昼食をとっていたことや、『ごんげん長屋』のお栄の家に、朝こっそりと入り込んでいるという噂を耳にします――。
くすりと笑えて、ほろりと泣ける。
これぞ人情物の決定版! 時代劇の超大物脚本家が贈る、大人気シリーズ第十弾です。
集英社文庫
北方謙三さんの『チンギス紀 六 断金』
完顔襄が率いる金国の大軍四万が、タタル族討伐のために動き出しました。
父イェスゲイをタタル族に暗殺されたモンゴル族のテムジンは、金国の要請に応じ、三千騎の出兵を決意します。ケレイト王国のトオリル・カンもまた金国の側に立ち、一万五千騎の軍勢を整えました。一方、同じモンゴル族のジャムカは、金国とタタル族の双方を草原の民の敵とみなし、要請には応じませんでした。
草原の部族で金国と連合したのは、テムジンとトオリル・カンのみ。
ウルジャ河付近でタタル族と戦闘中の金軍に加わったテムジンは、メグジン・セウルトが率いるタタル族の大軍に突撃します――。
モンゴルの草原に生じた大きな流れが、テムジンとジャムカの運命を変えていきます。
好評の第六巻です。
佐藤雫さんの『さざなみの彼方』
時は戦国。茶々(淀殿)は幼い頃、住んでいた城を信長に落とされた。
父が自害に追いやられるも、生まれた時から共に育ってきた大野治長に守られ、逃げることができた。
治長は茶々を一生守ると誓い、茶々も彼にそばに居てもらいたいと願う。
その後、ふたりは柴田勝家の元に身を寄せたが、今度は秀吉に城を攻められ、茶々の母が自害する。
そして二度目の落城を経験した茶々は、秀吉に側室になれと言われてしまい……。
二度の落城。許されぬ裏切り。家康の脅威。
運命に翻弄されながらも、互いを思い合う茶々と大野治長の姿を描く、歴史恋愛小説。
!おすすめ度
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