時代小説●文庫新刊情報|2024年6月上旬の新刊(1日→10日)
2024年6月1日から6月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。
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潮文庫
熊谷達也さんの『むけいびと 芦東山』
江戸時代中期、刑が無くても犯罪が発生しないような理想の世を求め、仙台藩儒学者・芦東山(あしとうさん)が23年にも及ぶ幽閉生活の中で著した『無刑録』。
刑罰は犯罪に対する報復だとする応報刑論が主流だった当時、人間尊重の立場から犯罪者を更生させるための手段との教育刑論を唱えたこの書は、近代刑法論書の先駆けとなるものでした。逆境を乗り越え、己の考えを貫き通した生涯とは?
文春文庫
冲方丁さんの『剣樹抄 インヘルノの章』
大火を引き起こした「極楽組」首魁・極大師は水戸光國のもとに自ら降りました。柳生義仙と廻国修行の旅に出ている六維了助は、逃げた配下の3人を追います。東照宮討ち入りの謀反に関東での切支丹集団の潜伏、松平伊豆守の影……。
絡み合う魔の手から光國と了助は江戸を守れるのでしょうか。
時代エンターテインメント完結編。
川越宗一さんの『海神の子』
中国の海賊と日本人の間に生まれ、自分の居場所を求める孤独な少年・福松(のちの鄭成功)。弟とともに平戸に預けられていた福松のもとに母・松が迎えに来ました。松は、台湾を根城にする大海賊の頭となっていた……。
やがて台湾の英雄となり、江戸の人々を熱狂させた舞台「国姓爺合戦」。主人公のモデルとなった鄭成功の半生を描き出した、静寂と熱狂のストーリー。
伊東潤さんの『夜叉の都』
建久十年(1199)、源頼朝と北条政子の間の息子・頼家が将軍職を継ぎました。しかし、頼家は酒色に興じ、その期に乗じ、政子の弟・北条義時は頼家の側近の梶原氏の失脚を画策します。さらに北条家の危機を避けたい義時と政子の父・時政は頼家の排斥と実朝の将軍擁立を主張、政子は武士の府を守るため、自ら頼家に毒を盛り、最終的に頼家は謀殺されます。
頼朝亡き後、弟・義時とともに、多くの政敵を滅ぼしていく北条政子。“夜叉のごとき”苛烈さで幕府を守り抜いた政子を描く歴史巨編。
村木嵐さんの『地上の星』
天草を守った武将・志岐麟泉(しきりんせん)。民に愛された姫・お京。異国との架け橋になった少女・おせん。天草の乱の直前、かなしみの秘史に、はじめて光を当てた歴史長編。
幻冬舎時代小説文庫
岡本貴也さんの『竹本義太夫伝 浄るり心中』
奉行の娘に恋慕する貧しい百姓の五郎兵衛は美声を見込まれ、浄るりの語り手として天下一を目指すことに。しかし「声はいいが芸がない」と不評で、全く客が入りません。血反吐をはきながら稽古に身をやつし、ついに道頓堀に竹本座のやぐらを揚げるのですが……。人生のすべてを芸事に捧げ、〈人形浄瑠璃〉に革命を起こした太夫の波乱万丈な一代記。
西條奈加さんの『婿どの相逢席』
小さな楊枝屋の四男坊・鈴之助は、大店の仕出屋『逢見屋』の跡取り娘・お千瀬と恋仲になり、晴れて婿入り。ところが祝言の翌日、大女将から思いもよらない話を聞かされます……。与えられた境遇を受け入れ、陰に陽に家業を支える鈴之助。“婿どの”の秘めた矜持とひたむきな家族愛は、やがて逢見屋に奇跡を呼び起こします。直木賞作家、渾身の人情譚。
実業之日本社文庫
田中啓文さんの『若旦那は名探偵 七不思議なのに八つある』
歌舞伎役者の中村葱蔵は、親方の名優・市川韮十郎から、韮十郎の息子に自分のハマり役を譲るよう強要されたことを恨み殺害してしまいました。自分の犯行がばれぬよう捜査を攪乱し、韮十郎の死は事故と結論付けられようとしますが、そこへ岡っ引きの伴次のもとで居候する大坂の若旦那・伊太郎が驚きの推理で葱蔵を追い詰めていきます。人情&本格&ユーモア時代ミステリ。
徳間文庫
武内涼さんの『あらごと、わごと 魔軍襲来』
平安中期の常陸の国。凶悪な大豪族・源護に虐げられていた十一歳の下女あらごとに、物を動かし浮かす不思議な力が目覚めました。あらごとは悪夢の館からついに脱走、平将門に庇護されます。一方、都では、あらごとと瓜二つの娘わごとが女流歌人に仕えていましたが、やはり、先を見通せるという謎の力に目覚めます。後の高僧・良源により、それを呪師の力と知った直後から、わごとは闇の組織に狙われるようになりました。
魔の手により東西に引き裂かれた双子少女に、魔王が迫りきます。
『あらごと、わごと 呪師開眼』に続く、平安ダーク・ファンタジー第2弾。
!おすすめ度
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■:新装版/復刊
♪ :気になる/チェックしたい
◎:文庫書き下ろし
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