時代小説●文庫新刊情報|2024年5月上旬の新刊(1日→10日)
2024年5月1日から5月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。
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小学館文庫
伊藤尋也さんの『土下座奉行 どげざ忠臣蔵』
弘化年間、徳川十二代将軍家慶の治世。千代田城「松の廊下」で、土下座奉行こと牧野成綱は、幕府の儀式典礼を司る高家の主吉良義房に行く手をはばまれました。
牧野の作法が礼を失しているというではないかと、吉良にとがめられ、進退きわまった牧野は、必殺技の「土下座」を繰り出しました。
一方、江戸の道ばたでは、奇妙な悪事が流行り、町人を震え上がらせていました。探索に奔走する同心の小野寺重吾の前に、美貌な若侍の吉良桔梗之介が現れ、事態はとんでもない方へ……。意気衝天の剣戟捕物、第3弾。
金子成人さんの『付添い屋・六平太 飯綱の巻 女剣士』
天保五年の正月、六平太は年礼回りの付添いに勤しんでいました。木綿問屋信濃屋の主・太兵衛のお供の帰途、ならず者に乱暴されている商人を助けに入ろうとしましたが、破れ菅笠を被り、黒袴を穿いた小柄な侍が先んじました。なんと侍の正体は?(「第一話 初春祝言」より)
六平太が師範代を任されている相良道場に女剣士が現れました。是が非でも腕比べをしたいと譲らず、気乗りしないまま、仕方なく女剣士と立ち会う羽目に。そして小間物屋寿屋の主・八郎兵衛からは穏蔵の返事があったと知らされて……。(「第四話 春嵐」より)
シリーズ第17作。
文春文庫
藤原緋沙子さんの『馬駆ける 岡っ引黒駒吉蔵』
暮れも押し迫るなか、見回りをしていた吉蔵は、田楽の店を一人で切り盛りする身重のおはると出会います。彼女には何やら事情があるらしく。
一方、神田堀には心の臓を一刺しにされた死体が浮かびました。その男が阿漕な高利貸しの宇兵衛だとわかり……。
黒駒を乗り回し、凧屋の店主で腕利きの岡っ引・吉蔵が活躍するシリーズ第2弾。
PHP文芸文庫
植松三十里さんの『梅と水仙』
佐倉藩士として生まれた津田仙は、幕府通詞として福沢諭吉らとともにアメリカへ派遣されるなど将来を嘱望されたものの、幕府瓦解後は農村改革を夢見るにとどまっていました。女子留学生を渡米させる計画を聞いた仙は、わずか6歳の娘・梅子を推薦します。日本初の女子留学生として、最年少で渡米した梅子でしたが、17歳で帰国した時、彼女は日本語さえ忘れていました。 日米の文化の違いや周囲との軋轢、父との葛藤に悩みながら、女子教育のために直向きに歩みを進めた津田梅子の生涯を描いた長編小説。
和田はつ子さんの『産医お信(のぶ)なぞとき帖』
亡き夫の理想を継いで、卓越した腕で助産と日常の医療を手掛ける女医、お信。ある日、宮田という大物産医が不在だったため、容体が急変した大店の妻の出産に代理で携わりました。無事出産を終え、胸を撫でおろしたものの、その数日後、宮田が殺されてしまい、嫌疑がお信にかけられてしまいます……。
お信が巻き込まれる陰謀、そして産医として直面する生と死のドラマを描く時代医療ミステリー。
幻冬舎時代小説文庫
井原忠政さんの『悪友顛末 うつけ屋敷の旗本大家 二』
大家稼業で借金返済を目指す小太郎と官兵衛は、貸家で次々起こる騒動に頭を抱えていました。目下の悩みは、絵師の偕楽と役者の円之助。売れない二人はいつも喧嘩ばかりで、ある晩ついに抜刀騒ぎを起こしてしまいます。これ以上争いを防ぐため小太郎たちは一計を案じますが、そんな時、邸内に狐の面を被った覗き魔まで現れて……。笑いと涙の人情時代小説、第2弾。
徳間文庫
あさのあつこさんの『おもみいたします』
身体と心の闇までほぐす、天才的揉み師のお梅。申し込めば半年待ちと評判のお梅の揉み治療に、一刻の猶予もない患者が現れました。
頭風に苦しむお清を訪ねたお梅はギリギリのところまできていると感じ取りました。揉みはじめると、お清の身体に潜む「淀み」を感じ……。彼女を悩ませるその原因とは?
青山文平さんの『底惚れ』
村に染まれず、江戸に欠け落ちた男たち。当時の江戸は一季奉公の彼らに支えられていました。主人公は四十過ぎのそんな男のひとり。はぐれ者だった男が、一途に自分を刺した女の行方を求めます。女を捜す方便として、四六見世という最底辺の女郎屋を営みながら、女が現れるのを待ちます。ビジネス成功譚と、女への思いを貫く純愛を描く物語はうねり、意外な展開をみせ、感動の結末へ。
2022年、柴田錬三郎賞と中央公論文芸賞をW受賞作。
!おすすめ度
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