時代小説●文庫新刊情報|2024年2月下旬の新刊(21日→月末)
2024年2月21日から2月末日の間に文庫で出る時代小説の新刊情報です。
新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。
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角川文庫
近藤史恵さんの『幽霊絵師火狂 筆のみが知る』
老舗料理屋のひとり娘である14歳の真阿は、胸を病んでいると言われて以来、部屋にこもりがち。店に、有名な幽霊絵師・火狂が居候することになります。大柄で悠然とした火狂は、人には見えないものが見えるようで、彼のもとには、絵に関する奇妙な悩みを持つ客が訪れます。犬の悪夢に怯える男、「帰りたい」という声に悩む旅人、手放しても戻ってくる絵――火狂と真阿は、絵に封じ込められた謎を解き明かしていきます。
筑前助広さんの『颯の太刀』
十八歳にして、門人のいない道場を引き継ぐことになった筧求馬は、出稽古の帰りに勝ち気で美しい娘が曲者に襲われているところを咄嗟に助けます。娘を匿うため道場で生活を共にしていましたが、屈強な刺客に連れ去られてしまいます。娘の名は茉名といい、将軍の血を引く姫であり、圧政に苦しむ藩を救おうとしていることを知った求馬。風を感じて敵の動きを察する「颯の太刀」を振るって、茉名を救う旅に立つことを決意します。時代小説の新星が描く、江戸の青春剣劇。
中公文庫
上田秀人さんの『振り出し-旗本出世双六(一)』
文政六年、いじめに耐えかねた西丸御書院番二番組の新参・松平外記が三名の古参を城中で斬り殺す大事件、いわゆる「千代田の刃傷」が起きました。幕閣が混乱する中、二百二十五石の小旗本で無役の小普請組・北条志真佑は、番士を一新し再編成された二番組に抜擢され、妹の幸や叔父の相模八左衛門とともに喜んでいました。上泉新陰流を使い、十一代将軍徳川家斉の世子・家慶の力にならんと腕を撫す志真佑だでしたが……。待望の新シリーズ始動。
夏山かほるさんの『平安京は眠らない-わかむらさきの事件記』
元式部丞・藤原為時の娘で二十歳の小姫(のちの紫式部)は、創作の腕を評価され、左大臣源雅信の娘・倫子に「物語の女房」として仕えていました。小姫の書いた「光る君」を主人公とする短編は、貴族社会の一部で評判を取り、回し読みされています。倫子の要望に従い次々と執筆しているうちに創作の「種」に詰まってしまった小姫は、ある日、隣家の中流貴族の娘で幼馴染みの月乃に「取材」へ誘われます。女房たちの間で噂になっている七の宮の恋の真相を知るため、宮が女と逢瀬を重ねているという廃院に行ってみようというのです。月乃の父の荘園を治める荘官の子・鶴丸を供に、廃院に向かった三人でしたが……。
二見時代小説文庫
伊丹完さんの『お化け退治 大江戸秘密指令4』
老中松平若狭介は茶坊主から、夜鷹が体を両断されたかわら版を見せられました。町奉行に確かめると、真実だと言います。老中が配下の隠密らに探索させると……。陰間茶屋ならぬ、女たちが若い役者見習いと遊ぶ色子茶屋なるものがは鑓一、さらに元寺社奉行の奥方がそこでとんでもない悪行を繰り返しているとも。好評シリーズの第4弾。
宝島社文庫
伊勢谷武さんの『アマテラスの暗号(上・下)』
元ゴールドマン・サックスのデリバティブ・トレーダー、ケンシ(賢司)は、日本人父との四十数年ぶりの再会の日、父がホテルで殺害されたとの連絡を受けました。父は日本で最も長い歴史を誇る神社のひとつ、丹後・籠神社の第八十二代目宮司でした。
籠神社は伊勢神宮の内宮と外宮の両主祭神がもともと鎮座していた日本唯一の神社で、境内からは一九七五年、日本最長の家系図『海部氏系図』が発見され、驚きとともに国宝に指定されていました。
父の死の謎を探るため、賢司は元ゴールドマンの天才チームの友人たちと日本へ乗り込みますが……。
髙田郁さんの『幾世の鈴 あきない世傳 金と銀 特別巻(下)』
明和九年(一七七二年)、「行人坂の大火」の後の五鈴屋ゆかりのひとびとの物語。
八代目店主周助の暖簾を巡る迷いと決断を描く「暖簾」。
江戸に留まり、小間物商「菊栄」店主として新たな流行りを生みだすべく精進を重ねる菊栄の「菊日和」。
姉への嫉妬や憎しみに囚われ続ける結が、苦悩の果てに漸く辿り着く「行合の空」。
還暦を迎えた幸が、九代目店主で夫の賢輔とともに、五鈴屋の暖簾をどう守り、その商道を後世にどう残すのかを熟考し、決意する「幾世の鈴」。
!おすすめ度
★:読みたい/入手したい
■:新装版/復刊
♪ :気になる/チェックしたい
●2月22日発売 KADOKAWA・角川ソフィア文庫 | |||||
『夜の寝覚 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』 | 乾澄子編 | ||||
『図解 諸子百家の思想』 | 浅野裕一 | ||||
『西遊記 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典』 | 武田雅哉編 | ||||
●2月22日発売 KADOKAWA・角川文庫 | |||||
★ | 『幽霊絵師火狂 筆のみが知る』 | 近藤史恵 | |||
『華は天命に惑う 莉国後宮女医伝 二』 | 小田菜摘 | ||||
『涙龍復古伝 暁と泉の寵妃』 | かみはら | ||||
■ | 『雷桜 新装版』 | 宇江佐真理 | |||
★ | 『颯の太刀』 →記事:将軍の血を引く姫と臆病な若き剣客。江戸の青春剣劇開幕 |
筑前助広 | |||
■ | 『薩摩燃ゆ』 | 安部龍太郎 | |||
■ | 『背負い富士』 | 山本一力 | |||
♪ | 『成り上がり弐吉札差帖 貼り紙値段』 | 千野隆司 | |||
●2月22日発売 PHP研究所・PHP文芸文庫 | |||||
♪ | 『文蔵2024.3(特集:とにかくかわいい「猫小説」)』 →記事:『文蔵2024.3』特集は、とにかくかわいい「猫小説」 |
「文蔵」編集部編集 | |||
●2月22日発売 中央公論新社・中公文庫 | |||||
★ | 『振り出し-旗本出世双六(一)』 →記事:上泉新陰流の使い手、書院番北条志真佑が徳川家慶の盾となる |
上田秀人 | |||
♪ | 『うぽっぽ同心終活指南(二)-夫婦小僧』 | 坂岡真 | |||
★ | 『平安京は眠らない-わかむらさきの事件記』 →記事:「2024年2月下旬の新刊(文庫)」をアップ →記事:若き日の紫式部が幼馴染みと、都大路で草子の「種」探し |
夏山かほる | |||
●2月24日発売 扶桑社・扶桑社文庫 | |||||
『大奥(上)』 | 脚本大北はるか | ||||
●2月26日発売 二見書房・二見時代小説文庫 | |||||
♪ | 『勝負めし 小料理のどか屋 人情帖40』 | 倉阪鬼一郎 | |||
★ | 『お化け退治 大江戸秘密指令4』 | 伊丹完 | |||
●2月27日発売 春陽堂書店・春陽文庫 | |||||
♪ | 『恋文道中記 銭形平次捕物控』 | 野村胡堂 | |||
●2月28日発売 新潮社・新潮文庫nex | |||||
『幽世の薬剤師6』 | 紺野天龍 | ||||
●2月28日発売 宝島社・宝島社文庫 | |||||
★ | 『アマテラスの暗号(上)』 | 伊勢谷武 | |||
★ | 『アマテラスの暗号(下)』 | 伊勢谷武 | |||
●2月29日発売 東京創元社・創元推理文庫 | |||||
『冒険小説論 近代ヒーロー像一〇〇年の変遷』 | 北上次郎 | ||||
●2月29日発売 角川春樹事務所・時代小説文庫 | |||||
★ | 『幾世の鈴 あきない世傳 金と銀 特別巻(下)』 | 髙田郁 |
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