時代小説●文庫新刊情報|2023年12月上旬の新刊(1日→10日)
2023年12月1日から12月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。
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潮文庫
車浮代さんの『天涯の海 酢屋三代の物語』
江戸後期。知多郡半田村(現在の愛知県半田市)で酒造業を営む、五代・中野半左衛門の急死により、婿養子に迎えられた三六(のちの初代・中野又左衛門)は、酒造りの傍ら、酒粕を使った粕酢造りを思いつきます。
いまや世界で愛される日本の「寿司」。その流行の淵源となった「粕酢」に生涯をかけた、初代から二代、三代へと受け継がれる三人の又左衛門。mizkan(ミツカン)創業の物語。
小学館文庫
辻堂ゆめさんの『十の輪をくぐる』
スポーツ用品会社で働く泰介は、認知症を患う八十歳の母・万津子を自宅で介護しながら、妻と、バレーボール部でエースとして活躍する高校二年生の娘とともに暮らしています。あるとき、万津子がテレビのオリンピック特集を見て「私は……東洋の魔女」「泰介には、秘密」と呟きました。泰介は、九州から東京へ出てきた母の過去を何も知らないことに気づきます。
故郷を捨て、上京したのはなぜだったのか、泰介は万津子の部屋で見つけた新聞記事を頼りに、母の「秘密」を探り始めるます。
時代小説ではありませんが、昭和の高度成長の時代を活写した作品です。
文春文庫
佐々木譲さんの『帝国の弔砲』
ロシア沿海州に開拓農民として入植した小條夫妻の次男・登志矢は、鉄道工科学校で学び、念願の鉄道技能士となりました。ところが世界大戦のさなか帝国軍に徴兵されて前線へ送られ、激戦を生き延びます。そして復員すると、帝国には革命の嵐が吹き荒れ、やがて登志矢もいやおうなしに飲み込まれていきます……。
日系移民2世の数奇な運命を描いた、圧巻の改変歴史冒険小説。
上田早夕里さんの『播磨国妖綺譚 あきつ鬼の記』
医術の才に恵まれた兄の律秀と物の怪の姿が見える弟の呂秀は、庶民の病を診て薬を方じ、祈祷で禍を退けながら暮らしていました。村に流れる物騒な噂を聞き調べる中で、呂秀は「新しい主」を求める一匹の鬼と出会い――。室町時代の自然豊かな播磨国を舞台に、陰陽師の兄弟が様々な怪異に迫る連作短編集。
幻冬舎時代小説文庫
村木嵐さんの『阿茶』
「政など、きれいごとでは進まない。呑まれているときではない」。豊臣家大坂城の堀を埋め徳川の権威を決定づけたのは、武士をも凌ぐ智慧を持った阿茶でした。夫亡き後、徳川家康の側室に収まり、戦場に同行するも子を喪います。禁教を信じ、女性を愛し、戦国の世を自分らしく生き抜いた阿茶の格闘と矜持が胸に沁みる歴史小説。
岡本さとるさんの『もみじの宴 居酒屋お夏 春夏秋冬』
目明かし父娘が持ち込んだ凶報が、お夏の居酒屋をざわつかせました。聞けば、男手一つで娘を育てた古着屋が殺されたといいます。さらには、その娘が行方不明とも。事件の真相も娘の安否も杳としてわかりません。そんな中、事件解決のきっかけとなったのは、お夏が「色ぼけ婆ァさん」とからかうお春が発した驚きの一言でした……。 人気シリーズ第8弾です。
朝日文庫
中島要、高田在子他さんの『朝日文庫時代小説アンソロジー『母ごころ』』
優しく、厳しく、 ときに切ない おっ母さんの情が沁みる 人気女性時代作家が織りなす 母子をめぐる人間模様。 迷子を育ててきた女髪結のおまつ。 13年経ったある日、思いもよらぬ知らせが……(「鈴虫鳴く」)。 亡き吾子の面影を胸にお座敷に上がる 辰巳芸者のぽん太に訪れた転機とは(「なんてん」)。母として、おなごとしての生き方を、 中島要さん、高田在子さん、志川節子さん、永井紗耶子さん、藤原緋沙子さんという、 人気作家6人が書き下ろした 競作時代小説アンソロジー。
徳間文庫
矢野隆さんの『さみだれ』
時代小説史上、最凶最悪の殺人者登場! 清水次郎長一家に突然やって来た旅の博徒、皐月雨の晋八です。
敵に囲まれた森の石松に勢したことがきっかけで、一家に草鞋を脱ぐことになりました。大政に素性を問われても笑顔でかわすばかりで謎は残ります。しかし、武闘派で鳴らした石松が「強ぇ」と感嘆するほど、とにかく腕が立つといいます。
折しも、次郎長一家は甲州の卯吉一家と抗争の真っただ中。即戦力として一家の客分となりましたが……。
!おすすめ度
★:読みたい/入手したい
■:新装版/復刊
♪ :気になる/チェックしたい
◎:文庫書き下ろし
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