時代小説●文庫新刊情報|2023年7月中旬の新刊(11日→20日)
2023年7月11日から7月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。
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光文社文庫
岡田秀文さんの『首イラズ 華族捜査局長・周防院円香』
内務省に新設された華族捜査局で、警部補の来見甲子郎は局長周防院円香の指揮の下、九鬼梨伯爵家で起きた陰惨な毒殺事件の捜査を行うことに。伯爵家一族に確執が見え隠れする中、円香の独自の捜査スタイルに甲子郎は翻弄され続けます。事態は首切り連続殺人に発展し……。
大正時代の東京を舞台に展開する陰惨で奇怪な殺人に、麗しき捜査官が挑む時代ミステリー。
伊多波碧さんの『家族 名残の飯』
橋場の渡し近くで、飛脚問屋の元美人女将と娘の二人が営む、一膳飯屋「しん」。その店の近所で火事が起き、それまで支えあってきた橋場町の住人たちの間に不穏な空気が漂います。
同じ頃、奥州から訳ありの一人の女が江戸に戻って来ました。犬に詳しいその女の正体が明らかになった時、人の心が揺れ出します……。人情が染みるシリーズ第4弾。
双葉文庫
千野隆司さんの『おれは一万石(25)-不酔の酒』
亀之助の一件を機に、加賀百万石の前田家と縁を結んだ尾張一門。反定信派の勢いが増すなか、公儀は「造酒額厳守」の触を出しました。前年の不作による米不足を案じ、酒の製造を制限するものですが、これにより酒の値が高騰。商機と見た正紀は、高岡領内の百姓からどぶろくを買い取って、藩財政の足しにしようとしますが──。大人気時代シリーズ、注目の第25弾。
馳月基矢さんの『拙者、妹がおりまして(10)』
勘定奉行の遠山景晋が敵対勢力の刺客に襲われ、その場にいた勇実が庇って負傷しました。床に臥せる勇実の看病を住み込みですると、関係がこじれたままの菊香が申し出ます。
遠山は回復した勇実に湯島学問所の教授就任を打診。将太が教える時も増え、手習所もひと区切り。いつまでもこのままでいたいが、そういかないこともわかっている、勇実も龍治も己の気持ちを固め、菊香や千紘の前で表明することに。
道を選ぶ時が来た若者たち、シリーズ最終巻。
光文社文庫
岡本さとるさんの『それからの四十七士』
六代将軍の有力候補である徳川綱豊は、吉良家との刃傷沙汰に対する赤穂藩への厳罰に関心を示しました。そして、筆頭家老の大石内蔵助に魅かれます。元禄の御世に憤慨する侍講の新井白石とともに、仁の心を持つ武士を求めていたのでした。しかし、運命は綱吉と柳沢吉保の陰謀から、討ち入りへと転がり落ち……。人気シリーズ「取次屋栄三」著者が挑む、忠臣蔵。
吉森大祐さんの『大江戸墨亭さくら寄席』
両国橋の袂で駆け出しの噺家小太郎はあぜんとしました。胸に響く声と話芸で聴衆を沸かせていたのは、幼馴染の代助だったのです。三年ぶりの再会に、代助は妹のお淳が重い病で二十両必要だと漏らし、二人は診療代を稼ごうとするも四苦八苦、小太郎は師匠で江戸随一の噺家仙遊亭さん馬を担ぎ出そうとしますが……。笑いあり涙ありの青春時代小説。
喜多川侑さんの『瞬殺 御裏番闇裁き』
南町奉行所隠密廻り同心は芝居好きが高じて、芝居小屋の座頭東山和清となりました。ところがそれは表向き。実は大御所として睨みをきかす徳川家斉直轄の御裏番になって、悪逆非道な連中を闇に屠る密命を帯びていたのです。その和清率いる一座が、色欲坊主らが武家や商家の妻女を次々と誑す謎の寺に潜入すると……。血沸き肉躍る痛快時代小説の始まり始まり!
時代小説文庫
櫻部由美子さんの『宝づくし 出直し神社たね銭貸し』
神無月の朝、〈出直し神社〉の社殿にお蔵茶屋〈くら姫〉の女主人・お妙が座っていました。たね銭八両の倍返しに訪れたのです。お妙は神社の守り人・うしろ戸の婆に、江戸中の菓子屋に「宝尽くし」の題に因んだ菓子を競わせる催しを計画中だと話しました。
神社の手伝いの娘・おけいは、その華やかな計画に胸躍らせます。
おけいが探すべき宝とは? 抜群の読み応えで大好評、シリーズ第4作。
木下昌輝さんの『応仁悪童伝』
高貴な出自で妖しいほどの美貌をもつ稚児・?と孤児で諸刃の剣を自由に操る能楽師の少年・一若。二人は、堺の慈済寺で暮らしていましたが、ある日、僧を殺め火を放った?は、一若に罪を着せ共に出奔、京に向かいます。
山名宗全、細川勝元、骨皮道賢らが激突する応仁の京で、彼らは知恵と美貌と刀の腕を武器に、暗殺、一揆、下剋上……の暗黒の乱世を、未来を求めて己たちの力で生きます。
室町長編国ロマン。
吉川永青さんの『乱世を看取った男 山名豊国』
かつて「六分の一殿」と呼ばれた山名家は、十二代目・山名宗全が応仁の乱を起こしたことで凋落を始めます。この家に生まれた山名豊国は、苦境をはねのけて家を再興することを幼き日からの悲願としますが、毛利と織田の二大勢力に挟まれて国は混乱し、家臣・国衆の反発がその道を阻みます。
生き残るために心ならずも裏切りを繰り返し、誰よりも泰平の世を求め続けた豊国。後世に悪名を轟かせた戦国武将の隠された一面を描く歴史長編。
講談社文庫
三國青葉さんの『福猫屋 お佐和のねこわずらい』
お佐和が務めるのは、常連客である武家の恋の橋渡し。相手の女性とは。猫好き同士の恋は叶うでしょうか。大好評文庫書き下ろし、愛猫時代小説第弾。
矢野隆さんの『戦百景 大坂冬の陣』
戦国時代の終焉を飾る大合戦、大坂冬の陣。徳川vs豊臣、そして真田信繁、伊達政宗、上杉景勝、松平忠直らの戦場内外での陰謀や思惑を深掘りした戦国時代小説集。「戦百景」シリーズ第7弾。
!おすすめ度
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