時代小説●文庫新刊情報|2023年6月中旬の新刊(11日→20日)
2023年6月11日から6月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。
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角川文庫
宮部みゆきさんの『魂手形 三島屋変調百物語七之続』
江戸は神田の袋物屋・三島屋では、風変わりな百物語が続けられています。語り手一人に、聞き手も一人。主人の次男・富次郎が聞いた話はけっして外には漏らしません。少年時代を木賃宿で過ごした老人が三島屋を訪れました。迷える魂の水先案内を務める不思議な水夫に出会ったことがあると言います。三島屋に嬉しい報せも舞い込み、ますます目が離せない宮部みゆき流の江戸怪談。
光文社文庫
佐伯泰英さんの『竈稲荷の猫』
日本橋からほど近い竈河岸の裏店で、小夏は三味線職人の父と二人暮らし。父の弟弟子の善次郎は、母のいない小夏を気遣いながら、一張の三味線を造り上げることを夢見て修業に励んでいました。ふたりは力を合わせ、世にひとつしかない三味線を造り上げようとしますが、さまざまな困難が襲います。三味線職人を目指す若き才能を描いた市井人情物。
矢野隆さんの『山よ奔れ』
慶応元年、博多。山笠の祭に命を懸ける「のぼせもん」たちがその準備にある中、黒田藩では保守派と、尊王攘夷派の筑前勤王党との対立が強まり、企てが進行していました。祭の英雄の九蔵と筑前勤王党の月形洗蔵は互いを友と慕いつつ、考え方の違いから対立します。そして一人の志士の謎の死から事態が動きます。国のため、山笠のため、熱き者たちが激動の時代を駆け抜ける幕末小説。
大塚卓嗣さんの『傾城 徳川家康』
岡崎松平家の嫡男・竹千代は、人質として尾張国におかれていましたが、人質交換により、三河国へ戻され、今川家監視下の生活となっていました。申楽の師となった観世十郎に手ほどきを受け、今川義元の前で舞うこととなっていましたが……。
麗しい少年となった竹千代は、宿命の敵に激しい殺意を抱きながらも裡に秘め、自らの運命を切り拓いていきます。破格のスケールの歴史小説登場。
藤原緋沙子著、菊池仁編さんの『江戸のいぶき 藤原緋沙子傑作選』
江戸の切り絵図製作に携わる主人公を描く「切り絵図屋清七」、古本屋に集まる噂を追って主人公が真偽を〝見届ける〟「見届け人秋月伊織事件帖」、女たちの愛の姿を炙り出す傑作人情譚を収めた「雪の果て 人情江戸彩時記」、雇われ用人が武家などの建て直しを図る「渡り用人 片桐弦一郎控」。人気時代作家・藤原緋沙子の代表シリーズの「ダイジェスト」を集めた贅沢な傑作選、第2弾。
双葉文庫
坂岡真さんの『はぐれ又兵衛例繰控【七】-為せば成る』
江戸市中を騒がす、ざんぐり党なる凶賊があらわれました。出役の助っ人に駆りだされた又兵衛は、空振りに終わった帰路に、市来数馬と名乗る若侍と出会います。元米沢藩の原方衆だという数馬は、八年前に殺された父の仇を捜しているらしい。数馬の仇討ちの成就を願う又兵衛だが、おもわぬところから仇の消息の手掛かりを掴み……。
怒りに月代朱に染めて、許せぬ悪を影裁く、時代シリーズ第7弾。
時代小説文庫
西條奈加さんの『曲亭の家』
当代一の売れっ子作家・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路。横暴で理不尽な舅、病持ち、癇癪持ちの夫とそんな息子を溺愛する姑。日々の憤懣と心労が積もりに積もって家を飛び出たお路は、迎えに来た夫に「今後は文句があればはっきりと口にします。それでも良いというなら帰ります」と宣言しますが……。
修羅の家で、子どもを抱えながら懸命に見つけたお路の居場所とは?
柴田よしきさんの『あんとほうき星 お勝手のあん』
紅屋から平蔵が去ったことで、安政五年はおやすにとって忙しい日々が続く年となりました。品川に腕の良い女料理人がいるとの噂が広まっていく中で、御殿山の宴に出した、おやすが考案した花見弁当は江戸中の話題となります。そんな多忙な中、おやすは、かつて紅屋で小僧として働いていたが、武家に養子入りして立派な若侍姿となった勘平との再会を果たしました。思わぬ嬉しさに心満たされる一方、疫病が江戸に蔓延し始めて品川にも影を落とし、とめ吉も病に倒れてしまいます……。待望のシリーズ第8弾。
講談社文庫
砂原浩太朗さんの『高瀬庄左衛門御留書』
神山藩で、郡方を務める高瀬庄左衛門。50歳を前にして妻を亡くし、さらに息子をも事故で失い、ただ倹しく老いてゆく身。残された嫁の志穂とともに、手慰みに絵を描きながら、寂寥と悔恨の中に生きていました。しかしゆっくりと確実に、藩の政争の嵐が庄左衛門を襲います。
風野真知雄さんの『潜入 味見方同心(六) 肉欲もりもり不精進料理』
精進料理の店「雲海」から魯明庵が出てきたという目撃情報を仕入れた魚之進。さっそく店の裏手をこっそり探ってみますと、精進料理どころか牛の臓物を客に食べさせているらしいことがわかりました。怪しい。魚之進は本田や麻次らと雲海を見張ることにします。もし店先で出くわしたらその場で捕縛するつもりなのです。将軍暗殺を企む魯明庵をここで取り逃がしたら、二度と捕まえる機会は訪れない宵に思われました……。大人気書下ろし時代小説、堂々完結。
知野みさきさんの『江戸は浅草5 春の捕物』
矢師の真一郎は多香との関係に悩んでいました。決死の覚悟の妻問いは宙ぶらりん。浅草は六軒長屋に流れて二年が経ち、笛師の大介、胡弓弾きの鈴らとも関係が深まったが、先行き見えない日々。そんな中、菓子屋の娘からなぜか矢の注文があり……。
気ままに暮らす江戸っ子たちの生きと人情を描くシリーズ第5弾。
集英社文庫
杉山大二郎さんの『大江戸かあるて 鍼のち晴れ』
命か、金か……。江戸一番の医者を志す17歳の駿。天涯孤独の貧しい青年がくだす答えとは? 注目作家の書き下ろし青春時代小説、第2弾。
!おすすめ度
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■:新装版/復刊
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