時代小説●文庫新刊情報|2022年10月上旬の新刊(1日→10日)
2022年10月1日から10月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。
→新刊情報リストを見る
文芸社文庫
平野他美さんの『海の百万石 銭屋の女たち』
江戸後期、加賀国で名を揚げた豪商・銭屋五兵衛は、志高く海運業を興し、功を成して藩の財政を度々救っいましたが、後に無念の最期を遂げました。「海の百万石」と称された銭屋五兵衛と一家を支え、共に生きた女たち――母やす、妻まさ、長男の嫁きわ、孫娘千賀。一家へのいわれなき罪を背負い、銭屋再建のためそれぞれが必死に尽力した姿を描く壮大な歴史ロマン。草思社・文芸社W出版賞金賞受賞作。
文春文庫
宮本紀子さんの『おんなの花見 煮売屋お雅 味ばなし』
訳あって離縁したお雅が営む「旭屋」は、夕餉に悩むおかみさんたちの間で、持ち帰りのお菜をたっぷり揃えた見世として評判を集めています。
気難しい差配や常連客の色恋、元亭主や母親との関係に悩まされながらも、お雅は旬なお菜を拵え、「旭屋」を逞しく切り盛りしていきます。「小間もの丸藤看板姉妹」シリーズの著者による、心温まる時代小説シリーズ、開幕。
PHP文芸文庫
細谷正充編さんの『はらぺこ〈美味〉時代小説傑作選』
うまいものには“謎”がある!?
みたらし団子、猪鍋、菜の花飯……旬の女性時代作家による江戸の料理×人情アンソロジー。つわりで何も食べられなくなった年下の義母のために、流行の猪鍋屋を訪れた同心の千蔭。評判通りの味に義母の食も進み、ひと安心するも、千蔭は猪鍋屋の騒動に巻き込まれることになり……。近藤史恵さんの「猪鍋」はじめ、全五編収録。
河出文庫
榛葉英治さんの『史疑 徳川家康』
徳川家康願人坊主すり替わり説を、明治時代に初めて唱えた村岡素一郎の本を、末裔で直木賞作家榛葉英治さんが現代文に直し、解説を加えています。隆慶一郎さんの『影武者徳川家康』に影響を与えた、家康研究の資料の初めて文庫化です。
幻冬舎文庫
柳広司さんの『はじまりの島』
一八三五年、奇怪な生物が暮らすガラパゴス諸島に、英国船ビーグル号の乗員十一名が上陸ました。天才学者ダーウィンらは、調査のため滞在を決定しますが、島には殺人鬼が潜伏しているといいます。直後に白骨死体が発見され、その翌朝には宣教師が絞殺体で見つかりました。「進化論」の提唱者が惨劇の謎に挑むミステリ。
小学館文庫
今村翔吾さんの『湖上の空』
第166回直木賞を受賞し、作品だけでなくテレビ出演などでも注目を集める著者の初エッセイ集。
織田信長や石田三成など滋賀にまつわる人物のエピソード、文学賞の仕組み、年号について等々、折々の話題のほか、作家を目指したきっかけや、忘れられないヒーロー、少年時代の思い出、家族やダンスインストラクター時代の教え子との交流など、著者の素顔が見えてきます。
上田秀人さんの『勘定侍 柳生真剣勝負〈六〉 欺瞞』
一夜は伊賀忍の素我部一新を呼び出し、柳生家を危うくする計略を耳打ちしていました。三代将軍家光が寵愛する柳生友矩を巡り、奇策が交錯する中、一夜は秘かに上方への旅に備えるます。そして上方では、信濃屋の長女・永和が一夜を心配しすぎるあまり、住み込みで手伝っていた淡海屋を飛び出そうと七右衛門と押し問答に……。
一夜の神算鬼謀に武士も商人も忍も女も振り回される、疾風怒濤の第六弾です。
岡本さとるさんの『銀の玉簪 八丁堀強妻物語〈二〉』
身分の違いを乗り越え、晴れて夫婦となった柳之助と千秋。大盗・竜巻の嵩兵衛一味も召し取り、二人の一層の活躍が方々で期待されていました。
そんなある日、見廻り中の柳之助の目の前で、若い娘が大川へと身を投げました。娘の名は、おいと。柳之助は近頃起こっている娘の「神隠し」が、このおいとの身投げとどこかで繋がっているか否か、隠密廻り同心として探索を始めます。
一方、恋しき夫のために戦う喜びを知った千秋は――。
山本巧次さんの『まやかしうらない処 災い転じて福となせ』
本郷菊坂台にある「瑠璃堂」の女主人・千鶴の占いはよく当たると、少々高い見料ながら大評判です。
ある日、千鶴が引越しに好い日を占った両替商から、贋の一分金や一朱金が流れているとの噂が立ちました。引越しは凶だったのではないか、と因縁をつけられた千鶴は調査役の権次郎や執事の梅治と事態の調査に乗り出すことに。
千鶴たちは、江戸を飛び出し贋金造りの工房を突き止めますが……。
人間ドラマと謎解き&アクションが最高潮のシリーズ第二弾。!
宝島社文庫
日下三蔵さん編の『山田風太郎時代小説コレクション 天の巻 元禄おさめの方』
山田風太郎没後20年に当たる2021年から生誕100年に当たる2022年にかけて、各社から風太郎作品が次々と復刊されていますが、ミステリーと忍法帖がほとんどであり、時代物の短篇は二十年以上も新刊で手に入らないものばかりです。今回はそれらのうち、8作品を収録しました。
ハヤカワ時代ミステリ文庫
森山茂里さんの『おしどり探索帖 雨降って地固まる』
無役の旗本、星川光次郎の呑気さに、妻の芙美は日々やきもきしています。そんな折、辻斬りにより旗本が後ろ傷で殺された謎を二人で調べることに。
朝日文庫
朝井まかてさんの『グッドバイ』
菜種油を扱う長崎の大店・大浦屋を継いだ希以。
やがて店は火事で焼け落ち、父は出奔、迎えた婿も気に入らず、いつしか独りで大浦屋を支えることを誓います。
たまたま通詞・品川藤十郎と阿蘭陀人の船乗り・テキストルと知り合い、茶葉が英吉利では不足しているという話を聞き、ここぞと日本の茶葉を売り込みます。
成功と落胆を繰り返しつつ、希以――大浦慶が目指したもの、手に入れたもの、失ったものとはいったい何だったのでしょうか。
中島要さん、坂井希久子さんほかの『朝日文庫時代小説アンソロジー 『家族』』
藤原緋沙子さん、和田はつ子さん、田牧大和さん、志川節子さんら、第一線の女性作家それぞれが「家族」をテーマに描く珠玉の六編。文庫オリジナルです。
五十嵐佳子さんの『願い針 結実の産婆みならい帖』
結婚・出産・育児・仕事……いまも昔も、女の人生は決断の連続。
旗本の嫡男との駆け落ちに失敗し、身籠っていた子を産んだその日に里子に出されてしまった蝋燭屋・守田屋の一人娘、静。静はその後、親の言うままに番頭と祝言と上げ、男子を出産します。喜ぶ家族をよそに、浮かない顔のまま赤ん坊の世話をする静が心配になった結実は、静にある女性と話をさせることにしますが……。『むすび橋』『星巡る』に続く、幕末の江戸・八丁堀で産婆をする結実の成長を描く、シリーズ第三作!
葉室麟さんの『星と龍』
悪党と呼ばれる一族に生まれた楠木正成の信条は正義。近隣の諸将を討伐した正成は後醍醐天皇の信頼を得ていきますが、自ら理想とする世の中と現実との隔たりに困惑し……。著者最後となった未完の長編小説。安部龍太郎さんによる、詳細な解説を収録しました。
!おすすめ度
★:読みたい/入手したい
■:新装版/復刊
♪ :気になる/チェックしたい
◎:文庫書き下ろし
↑ 新刊情報Topへ|← 2022年9月の新刊 下(21日→月末)|2022年10月の新刊 中(11日→20日) →