時代小説●文庫新刊情報|2022年8月上旬の新刊(1日→10日)
2022年8月1日から8月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。
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PHP文芸文庫
田牧大和さんの『鯖猫長屋ふしぎ草紙(十)』
「鯖猫長屋」に入居したいとしつこく迫る元拝み屋の男を、差配の磯兵衛が追い払うところから始まります。「呪い札」を書いて怪しげな商売をしているその男が、「鯖猫長屋」に近づいて、一体何を企んでいるのでしょうか。
美猫サバの飼い主、いや子分で猫専門の画描きとして長屋で暮らす拾楽は、仄かな想いを寄せあうおはまから、ある頼み事をされました。長屋を“仕切る”猫と、その子分の画描きが事件に立ち向かう「大江戸謎解き人情ばなし」第10弾。
双葉文庫
朝井まかてさんの『落花狼藉』
戦国の気風が残る江戸時代初期、主の甚右衛門に拾われた花仍は、店の娘分として育ったのち、甚右衛門の妻になりました。十三年越しの願いが叶い、甚右衛門はお上に傾城町を作る許しを得たが、築かれたのは果たして「女の城」だったのでしょうか?
西田屋の女将・花仍の一生を通して、日本一の遊郭を築き上げる姿を描く長編小説。
千野隆司さんの『おれは一万石(22) -藩主の座』
廃嫡を目論む者たちの奸計に嵌まり、正紀は蟄居謹慎を余儀なくされました。高岡藩の藩主交代が間近に迫るなか、藩内でも正紀廃嫡の気運が高まってくるきて、ついには、将軍家斉までもが正紀の藩主就任に難色を示すに至りました。正紀は、無事藩主の座に就けるのか、大人気時代シリーズ第22弾。
芝村凉也さんの『北の御番所 反骨日録【五】-かどわかし』
用部屋手附同心の裄沢広二郎は、僅か半年のうちに敵対した与力を三人もお役から飛ばしたことで、北町奉行所の同僚から気を遣われる存在となっていました。そんな中、日本橋本石町の呉服屋・鷲巣屋の番頭が裄沢の屋敷を訪れ、小判入りの菓子折を置いていった。見世への出入りを求めてきた鷲巣屋の願いを裄沢はにべもなく断るが、それでも諦めない見世の主は卑劣な手を使い――。
「時代小説SHOW」の2021年文庫書き下ろし時代小説第3位の、注目の警察小説ならぬ奉行所小説の第5巻。
小学館文庫
篠綾子さんの『江戸寺子屋薫風庵』
江戸は下谷に薫風庵という風変わりな寺子屋がありました。
薫風庵の住人は教鞭をとる妙春という二十四歳の尼と、廻船問屋・日向屋の先代の元妾で、その前は遊女だったという五十一歳の蓮寿尼、それに十二歳の飯炊き娘の小梅の三人。ある日、隣家の大造が寺子に盆栽を折られたと怒鳴り込んできた。近所では蚯蚓や蛙の死骸を投げ込まれた家もあるのだと。
隣家への嫌がらせは誰の仕業なのでしょうか。教職の経験もある著者が満を持して放つ江戸版“二十四の瞳”誕生。
文芸社文庫
阿岐有任さんの『隆家卿のさがな姫』
2018年、平安貴族たちの愛と葛藤を描いた『籬の菊』で歴史文芸賞(文芸社主催)最優秀賞を受賞し、デビューした著者が放つ注目の第2作。
救国の英雄、藤原隆家。時の権力者であり、叔父の道長のことなど微塵も恐れず、世間ではさがな者と評されている彼も、家では一人の父親でした。家では婿取り。その裏で渦巻くさまざまな思惑を蹴散らして、誰にも左右されない独立独歩の隆家をいきいきと描く平安歴史小説。
安藤圭助さんの『花喰鳥のゆくえ 首斬り役人と人斬り志士』
人を斬ることを生業とする、豊前藩の首斬り役人の家に生まれた与太と、呉服商の次男坊として生まれた佳一。寺子屋の手習い時代からの友である二人は、与太の家道場で剣の腕もともに磨いてきました。時は経ち、次第に世の中は混沌としていく幕末。佳一は家を継ぎ、愛する人を懸命に守ろうとし、与太は攘夷の思想に触発され、脱藩を決意する。別々の道を歩むことになった二人の運命は、時代に翻弄されながらも幕末を懸命に生きる友情の物語。
時代小説文庫
今村翔吾さんの『風待ちの四傑 くらまし屋稼業』 は、2022年9月15日の発売予定に変更になりました。
高田郁さんの『あきない世傳 金と銀(十三) 大海篇』
宝暦元年に浅草田原町に江戸店を開いた五鈴屋。もとは手頃な品々で人気を博しただけに、次第に葛藤が生まれていきます。吉原での衣裳競べ、新店開業、まさかの裏切りや災禍を乗り越え、店主の幸や奉公人たちは「衣裳とは何か」「商いとは何か」、五鈴屋なりの答えを見出していきます。
時代は宝暦から明和へ、「買うての幸い、売っての幸せ」を掲げて商いの大海へと漕ぎ進む五鈴屋の物語、いよいよ、ここに堂々の完結。
宮本紀子さんの『ふたりの道 小間もの丸藤看板姉妹(五)』
残暑の頃。小間物商「丸藤」の手代として信頼厚い吉蔵が、実家の味噌屋の主となるため、店を去ることになりました。吉蔵を敬愛する総領娘の里久は、動揺を隠せません。吉蔵は主・藤兵衛に、「私の次の手代は里久お嬢さんに」と進言し、今まで自らが丸藤で培ってきたすべて、商人としての自覚と自信を里久に教えこむことを、最後の奉公とさせてほしいと頭を下げます。
商いに向き合う里久の奮闘、妹・桃の嫁入り、そして里久の縁談……成長した看板姉妹の物語、感動のシリーズ完結編です。
光文社文庫
上田秀人さんの『内憂 惣目付臨検仕る(四)』
奥右筆、そして将軍生母の月光院にまで楔を打ち込んできた惣目付の水城聡四郎。幕政改革を進めんとします。八代将軍徳川吉宗と腹心聡四郎の前に、次に立ちはだかったのは目付でした。
老中、大名家すらも監察してきた江戸城中最大の権力に対して、聡四郎は手を打てるのでしょうか。「惣目付」シリーズ、未曾有の激闘が詰まった第4弾。
中島要さんの『神奈川宿 雷屋』
お実乃が奉公する神奈川宿の茶屋・雷屋は、二階でもぐりの旅籠もやっていて宿賃は割高。客もわけありの癖の強い連中ばかりで、お実乃はしょっちゅう振り回されます。ある日、それまで元気そうにしていた客の老婆が、突然、夕餉のあとで謎の死を遂げました。厄介事を嫌い、「病死だ」と言い張る主人の仁八に不信感を抱いたお実乃は、真相をさぐろうとしますが……。時代本格ミステリー。
岡本さとるさんの『果し合い 若鷹武芸帖』
第十一代将軍徳川家斉に武を誇る番方の武芸の腕を調べよと命じられた公儀武芸帖編纂所頭取の新宮鷹之介。四番勝負を終え、仕合も鷹之介の圧勝となる。と、改めて五番目の勝負を命じられたのだが、その相手はなぜか鷹之介の右腕・水軒三右衛門。そして、鷹之介に知らされた父・孫右衛門の死の真相とは。。
果たして、勝負の結末は? 涙と笑いと震える感動が待つシリーズ最終巻。
徳間文庫
梶よう子さんの『とむらい屋颯太 漣のゆくえ』
新鳥越町二丁目にある「とむらい屋」。葬儀の段取りをする颯太、死化粧を施すおちえ、渡りの坊主の道俊。颯太は十一歳の時、弔いを生業にすると心に決めて様々な別れに向き合います。
生きていてほしかった。死者が残した未練や無念、生者が抱えた哀惜や苦悩を描く、江戸時代のおくりびとたちを鮮烈に描いた心打つ物語の第2弾。
★2022/08/04追記
ハヤカワ時代ミステリ文庫
松本匡代 さんの『早耳屋お花事件帳 父ひとり娘ひとり』
江戸の出来事を文字にして知らせる瓦版屋。早耳屋清兵衛は、元気娘・お花の成長に目を細めています。ある日、お花は、日本橋の唐物問屋の手代が辻斬りに遭ったことを知ります。人情瓦版屋父娘が活躍するシリーズ第2弾。
★2023/08/09追記、お詫び
朝日文庫
北原亞以子さんの『雪の夜のあと 慶次郎縁側日記』
元南町奉行所同心の隠居・森口慶次郎の前に、かつて愛娘三千代を暴行して自害に追い込んだ憎き常蔵が名前を変えて、再び現れました。常蔵の悪行を止めようとする娘、翻弄される女たち。江戸裏長屋を舞台に、男の怨念と赦し、人生の哀歓を描いた傑作長編。初の文庫化!
『その夜の雪』と勘違いしておりました。すみません。本書は、『その夜の雪』の後日談となります。『その夜の雪』と「慶次郎縁側日記」シリーズの間に入る作品です。
!おすすめ度
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