時代小説●文庫新刊情報|2022年4月中旬の新刊(11日→20日)
2022年4月11日から4月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。
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今回は、まずハヤカワ時代ミステリ文庫の進藤玄洋さんの『鬼哭の剣』。
弘前津軽家の門前に、口に黒百合が押し込まれた死骸が捨て置かれました。和人の謀略で無残な最期を遂げた、シャクシャインの呪いなのか……。シャクシャインは、江戸前期の寛文年間に松前藩に対して蜂起した、アイヌの首長。編集者のお眼鏡にかなった新鋭の作品に期待です。
光文社文庫の新刊も要チェック。
岩井三四二さんの『天命 毛利元就 武略十番勝負』。
大内、尼子の二大勢力に翻弄される弱小国人・毛利家の次男に生まれた元就は、兄を亡くし、図らずも大将となりました。自らも九死に一生を得て己の天命を悟った男は、幾度も哀しみから立ち上がり、武略に長けた逞しい武将となっていきます。元就を変えた十の戦いを描いた歴史小説。
谷津矢車さんの『刀と算盤 馬律流青春雙六』。
「馬律流」という武術を伝える道場の主人・紗六新右衛門の長屋に「唯力舎」という変わった貼り紙があります。そこでは一瀬唯力という男が経営指南をしてくれるといいいます。唯力と新右衛門とその仲間たちが知恵と勇気を振り絞る、青春時代小説。
徳間文庫から、上田秀人さんの『隠密鑑定秘禄一 退き口』。
綱吉時代の大名の評価が書かれた奇書「土芥寇讎記」を発見した将軍家斉は、小人目付、射貫大伍に、綱吉に倣おうと大名の人事考課表を命じました。新シリーズ、開幕。
双葉文庫にも、気になる作品が揃っています。
芝村凉也さんの『北の御番所 反骨日録【四】-狐祝言』。
上役に暴言を吐いて謹慎処分を受けた裄沢広二郎。定町廻りのお役を解かれて古巣の用部屋手附同心として復帰しました。そんな裄沢にとっての最大の懸案は、奉行所内での己の処遇などではなく、幼馴染みの同心・来合轟次郎と美也の祝言のことでした。「時代小説SHOW」の2021年文庫書き下ろしランキング第3位のシリーズの第4弾です。
馳月基矢さんの『拙者、妹がおりまして(5)』。
龍治に返り討ちに遭い、手負いの吉三郎でしたが、自分と同じく白瀧家に恨みを持つと踏んでおえんに近づき、その長屋に転がり込みました。打算から始まった同居は、しかし徐々に心の変化をもたらし、ある時おえんを襲った身の危険に対して吉三郎は……。夢を持ち、恋に落ち、時に傷つきながら成長する、若者群像を描く第5弾。
鳴神響一さんの『おんな与力 花房英之介【四】』。
ある夜、花房英之介は道端で倒れている商家の主人を見つけるが、走り去る武士を捕り逃してしまいます。後日、主人が襲われた商家から、奉公人らが忽然と姿を消したとの噂を聞いた英之介は探索を始めます。しかし、裏には思いもよらぬ人物の暗躍が……。
新米与力をつとめる英之介の正体は、死んだ兄に成り代わり男として生きる花房志乃。おんな与力が華麗に悪を斬る、書き下ろしシリーズの最終巻となります。
蓮生あまね(はすおあまね)さんの『鬼女の顔』。
能面打ち師が拾ってきた顔に傷がある女。その女の素性を調べていくと、京の都に巣くう「鬼」の姿が浮かび上がる表題作。応仁の乱前夜の京の都で観世座の能楽師と訳ありの弟子が人々の心に棲む鬼が起こした難事件に立ち向かう連作集、2014年、36回小説推理新人賞受賞作。単行本『去にし時よりの訪人』を改題して文庫化。
時代小説文庫から、坂井希久子さんの『萩の餅 花暦 居酒屋ぜんや』が出ます。
早い出世を同僚に妬まれている熊吉。養い子故に色々なことを我慢してしまうお花。二人を襲う様々な試練。心をほっと温め、そっと背中を押してくれるような、江戸の色とりどりの料理たちと健気な二人の奮闘に心満たされる人情時代小説、第2弾。
講談社文庫では、風野真知雄さんの『潜入 味見方同心(四) 謎の伊賀忍者料理』。
毒殺の恐れがある中、将軍が城を出て、寛永寺で昼食をとる日がやってきました。不測の事態が起きれば味見方の魚之進は切腹必至です。女中が酒をこぼしてばかりの料亭の「こぼし飯」ほか、ユニークな料理が登場するシリーズ第4弾。
中公文庫の新刊では、吉川永青さんの『賤ヶ岳の鬼』が楽しみです。
柴田勝家の甥にして、鬼玄蕃の異名を持つ猛将・佐久間盛政。戦に幾度敗れても折れぬこの男を、信長は「諦めの悪い奴」と称しました。「戦国一諦めの悪い男」の鮮烈なる生き様を描く戦国歴史小説です。
!おすすめ度
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