2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

捕物

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泣ける捕物帳、岡っ引きたちの光と影

小杉健治さんの『二十六夜待』を読了。単行本刊行時のタイトルが『七人の岡っ引き』と付けられたことからわかるように、岡っ引きたちの生態にスポットを当てた短篇捕物小説集である。一話に一人ずつ岡っ引きが登場するので、七話で七人七種の岡っ引き像を見る...
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意外に明るい? 江戸の月

時代小説を読んでいると、「月夜だから提灯はいらない」とか、「月のない真っ暗な夜だった」とか、月の明るさに触れた描写に出くわすことがある。また月に関しては、十五夜ばかりでなく、「十六夜(いざよいと読む。十五夜の次の夜のこと)」や「立待月(たち...
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江戸の捜査が堪能できる捕物小説

千野隆司さんの『鬼心 南町同心早瀬惣十郎捕物控』を読み終えた。前2作『夕暮れの女』『伽羅千尋』はアリバイ崩しや真犯人探しが魅力だったが、今回は最初から犯人は明かされていた。深川で雪駄小間物傘問屋を営む市之助は、借金の返済のため、雪駄の行商を...
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悪ガキと夫婦の溝

千野隆司(ちのたかし)さんはお気に入りの時代小説作家の一人。『札差市三郎の女房』や『江戸仇討模様 永代橋、陽炎立つ』『逃亡者』など、サスペンスに満ちた物語や、江戸の市井をしっかりと描いた作品でバツグンの腕の冴えを見せる。「南町同心早瀬惣十郎...
人物

江戸町奉行と鳥居耀蔵

江戸の町奉行というと、大岡越前守忠相や遠山左衛門尉景元(遠山の金さん)、根岸肥前守鎮衛(『耳嚢』の筆者)が有名。北町奉行だった遠山の金さんと同時代(天保期)に南町奉行を務めた人物に鳥居甲斐守忠耀(耀蔵)がいる。鳥居耀蔵は、天保の改革を断行し...