武家

女性

幕末維新の混乱を描く短篇

牧南恭子さんの『女泣川花ごよみ』を読了。新鋭作家の時代小説作品集だが、期待に違わず面白く読める短篇ばかりだった。「塩なめ地蔵」三十年ぶりにかつての教え子が突然現れ、寺子屋の師匠の胸に去来した思いは……。「田楽屋敷」田楽屋敷と呼ばれる上屋敷の...
幕末維新

桜田門外の変と仇討ち

浅田次郎さんの短篇に、「柘榴坂の仇討」(『五郎治殿御始末』収録)がある。桜田門外の変によって、人生が大きく変わった二人の武士の明治維新後を描いた作品である。ちなみに柘榴坂(ざくろざか))は、高輪にあった久留米藩下屋敷と薩摩藩下屋敷の間の坂道...
幕末維新

明治の改暦と西洋定時法

浅田次郎さんの『五郎治御始末』に収録された短篇「西を向く侍」と「遠い砲音」は、明治五年から明治六年にかけて行われた旧暦(太陰太陽暦)から西洋暦(グレゴリオ暦)への改暦と、西洋定時法採用をテーマにした作品である。知識としては、明治初年に旧暦か...
武家

藤沢周平作品と犬

新潮文庫から出ている『時代小説―読切御免〈第4巻〉』を読み始めた。今を代表する人気時代小説作家の短篇7編を収録したアンソロジーだ。1巻~3巻同様にラインナップが豪華で気に入っている。今回も藤沢周平さん、北方謙三さん、鈴木輝一郎さん、火坂雅志...
剣豪

「天下騒乱」を見逃したのは痛い

池宮彰一郎さんの『天下騒乱 鍵屋ノ辻』を読了。単なる仇討ち劇の描写にとどまらず、江戸政権確立期の大事件として、スケール感大きく描かれていて面白かった。他の作品では脇役や敵役に回ることが多い、老中土井利勝の存在感が圧倒的。家康以後の幕府の統治...