2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

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江戸

無頼の天才と奸臣の郡代が和算対決

鳴海風(なるみふう)さんの『美しき魔方陣 久留島義太見参!』を読んだ。鳴海さんは、円周率の自乗の公式を発見した建部賢弘を描いた短篇『円周率を計算した男』で第十六回歴史文学賞を受賞したほか、和算(鎖国化の江戸時代に発達した日本独特の数学)の祖...
市井人情

品川宿の人情が楽しめる時代小説

今井絵美子さんの「立場茶屋おりき」は、東海道の第一の宿場、品川にある立場茶屋(たてばぢゃや)を舞台にした時代小説シリーズ。立場茶屋は、東海道を旅する人に飲食を提供する茶店のこと。美人女将おりきが営む立場茶屋は料理が自慢の旅籠としても知られて...
伝奇

小松左京賞作家の捕物帳

年末に伊藤致雄(いとうむねお)さんの『吉宗の偽書 兵庫と伊織の捕物帖』を読んだ。作者の伊藤さんは、1942年宮城県生まれで、2005年に『神の血脈』で第6回小松左京賞を受賞された気鋭の作家である。『神の血脈』は幕末を舞台にした壮大なスケール...
捕物

名力士雷電が登場する時代小説

風野真知雄さんの『両国大相撲殺人事件』を読んだ。江戸時代の奇談をまとめた『耳袋』の著者として知られる江戸南町奉行・根岸肥前守鎮衛が活躍する人気シリーズの第6弾である。今回はタイトルどおりに、有望な若手力士の伊佐二が殺されるところから物語は始...
武家

吉良上野介夫人の富子から見た忠臣蔵

1日遅れのエントリになってしまったが、12月14日といえば、赤穂浪士の吉良邸討ち入りの日。もっとも江戸時代は旧暦だから、今のカレンダーでいえば1月下旬になるわけだが…。ともかく、赤穂浪士の討ち入りを題材にとった時代小説が読みたくなる。今年は...