2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

ジャンル

捕物

二人の身元をそれぞれに追う、定町廻り同心の父と息子

千野隆司(ちのたかし)さんの『わすれ形見』を読む。「南町同心早瀬惣十郎捕物控」シリーズの第六弾である。、このシリーズはいずれの作品も、趣向を凝らしたサスペンスに満ちたスピーディーな展開で、ミステリーのツボも押さえていて、上質な捕物小説になっ...
江戸

元・徒目付の深川の隠居が活躍する時代小説

小林力(こばやしりき)さんの『深川の隠居』を読んだ。元徒目付で林崎夢想流の遣い手である、海津軍兵衛が公儀が裁けぬ悪を斬る、「父子目付勝手成敗」シリーズの第二弾。深川の隠居―父子目付勝手成敗 (学研M文庫)作者: 小林力出版社/メーカー: 学...
市井人情

妻が卒中で半身不随になっていまったら

曽田博久さんの『孤剣の絆 同行二人長屋物語』を読む。『千両帯』『万両剣』『十両首』と続く、曽田さんの「新三郎武狂帖」シリーズのファンだが、今回は新シリーズということで、期待感を持って読み始めた。孤剣の絆―同行二人長屋物語 (時代小説文庫)作...
女性

江戸の「おくりびと」-三昧聖を描く時代小説

日本映画の「おくりびと」が第81回米アカデミー賞外国語映画賞を受賞し、納棺師という職業が注目されている。高田郁(たかだかおる)さんの『出世花』は、寺の湯灌場で亡骸を湯で洗い清めて、棺(「早桶(はやおけ)や「座棺」(ざかん))に納めるという、...
ミステリー

若き日の大隈重信の姿を活写

渡辺房男(わなたべふさお)さんの『円を創った男 小説・大隈重信』を読んだ。渡辺さんに注目したのは、『ゲルマン紙幣一億円』を読んでからである。明治政府が発行した紙幣・明治通宝(ドイツの会社が印刷したことから通称ゲルマン紙幣と呼ばれた)の精巧な...