(おんびょうじ・ほうおうのまき)
(ゆめまくらばく)
[平安]
★★★★
♪順番からいうと先に刊行された、長編の『陰陽師 生成り姫』(朝日新聞社刊)を先にしなきゃいけないところだが…。やっぱり、連作形式のこっちの方が読みやすそうというわけで…。
若き陰陽師・安倍晴明と朋友の源博雅が活躍するシリーズ第4弾。強力コンビに、新キャラの蘆屋道満をライバルとして配したところが、今巻の見どころ。そのほかでは「月見草」の話が印象に残った。
本に挟まれていた、PRペーパー『仰天・夢枕獏』によると、夢枕さんは今年12冊の本を出すそうだ。凄いパワーだ。また、夢枕さんの公式ホームページ「蓬莱宮」をオープン。
http://www.digiadv.co.jp/baku/
作者の日記や、村上豊さんとのコラボレーションによる、『絵物語 陰陽師』や、掲示板などのページがあり、『陰陽師』の映画化の話などもあるそうで、目が離せない。
物語●「泰山府君祭」晴明は帝の勅で、昏睡状態の三井寺の智興内供を救うために、泰山府君の祭をすることになった…。「青鬼の背に乗りたる男の譚」一条大路の桟敷屋で、橘基好は、嵐の晩に女との逢瀬の最中に妖物を見たという…。「月見草」八月十五夜に、文章好みの輩が何人か集まって、亡き文章博士の大江朝綱の屋敷で酒を酌み交わしながら詩句を詠じていると、朝綱縁の女が現れた…。「漢神道士」参議の藤原為輔の枕元に、毎夜、白い水干のようなものを着た老人が立つという…。「手をひく人」鵜匠の賀茂忠輔が晴明のところに、鮎を届けにやってきて、ついでに、知り合いの、竹取りの猿重の妖異な話をした…。「髑髏譚」晴明と博雅は、『法華経』の霊験あらたかな話をしていた…。「晴明、道満と覆物の中身を占うこと」村上天皇の命で、晴明は蘆屋道満と、方術比べをすることになった…。
目次■泰山府君祭|青鬼の背に乗りたる男の譚|月見草|漢神道士|手をひく人|髑髏譚|晴明、道満と覆物の中身を占うこと|あとがき
時代:村上天皇の御世。「月見草」康保二年(965)。「晴明、道満と覆物の中身を占うこと」天暦二年(948)ごろ。
場所:三井寺、土御門小路、一条大路、二条大路と東京極大路の交わるところ、天神川、鴨川、最照寺、紫宸殿ほか
(文藝春秋・1,286円・00/06/30第1刷・251P)
購入日:00/07/08
読破日:00/08/22