折り紙大名
(おりがみだいみょう)
矢的竜
(やまとりゅう)
[武家]
★★★★☆
♪上総国佐貫藩一万五千石の藩主、松平出雲守重治が主人公の時代小説。身分違いの者に手紙を出したことで改易になったという。なぜ? 気になる。 “Wikipediaで松平重治を調べると、「貞享元年(1684年)11月10日、みだりに身分の低い者と交わって綱紀を乱したとして改易され、身柄は陸奥会津藩主・保科正容に預けられた」と記載されている。言いがかりのような瑣末な理由だが…。http://t.co/FWqylAA
『折り紙大名』の面白さは、義父が老中で寺社奉行までつとめた松平重治の改易と、創作折り紙を結びつけたところにある。そういえば、少し前に見た、竜を折った、精巧なトイレットペーパー折り紙を思い出した。
『折り紙大名』では、主人公の松平重治の凛として、清冽ともいえる生き方に感動を覚える。また、重治の振る舞いをとおして、家綱から綱吉へと政権が変わる時代を巧みに描いている。第2弾『大江戸 花火師伝』は松平定信の時代ということで、こちらも楽しみ。
物語●佐貫藩主で寺社奉行をつとめる松平重治は、元家臣で武士を捨てて市井に暮らす長元坊から、日本橋にある古着屋の三女きぬが折った折り紙の蟹を見せられ、その出来栄えに魅了された。そして、不治の病にかかった四代将軍家綱を慰めるために、竜神の折り紙を、きぬに折らせることを考える。そして、きぬに手紙を書いたことから、一大騒動が巻き起こる……。
目次■折り紙大名/主要参考文献/あとがき