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江戸名物からす堂(三)

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江戸名物からす堂(三)

江戸名物からす堂(三)

(えどめいぶつからすどう)

山手樹一郎

(やまてきいちろう)
[痛快]
★★★★☆

このシリーズを読みと何ともハッピーな気分にさせられる。お紺とからす堂が結婚してからもお互いに愛情をもって尊敬しあっているのが作品から伝わってくるからかもしれない。また、からす堂は剣の名手であり強いのだが、活人剣で悪人をあまり傷つけないのがそういう印象を与えるのかもしれない。

からす堂の武器は、その観察力、推理力、舌力である。観相を生業にしている(見料は十六文で、実際には取らないことが多い)ために、相手の顔をよく見る。体調が悪いときに顔にでるように、悩みや事情があるときも顔に現れるらしい。時折見せる銭占いはこじつけっぽい所もあるが…。

このシリーズの本巻の見物は、前作から登場の妖婦・白狐のお鶴の活躍ぶり。また、からす堂に二ノ宮豊作という弟子ができたりして、また新しい展開があった。

◆主な登場人物
からす堂:観相の先生
お紺:居酒屋「たつみ」のおかみ
菊村:浜松家の中臈
お加代:「たつみ」の手伝い。十九歳
多吉:「たつみ」の板前
桜田慶助:浜松家の藩士
丑蔵:浜松藩のお庭中間
松平新十郎:浜松家の分家の当主
寿:浜松家の奥方
白狐のお鶴:稀代の毒婦
武州屋甚左衛門:鴻ノ巣の大金持
甚太郎:甚左衛門の息子
お松の方:病気療養中の中臈
おおかみ安:鴻ノ巣のごろつき
二ノ宮豊作:藤沢で文吉という江戸の男を助けた若者
谷九郎:坊主あがりのちょうちん屋権右衛門一家の身内
あざ八:ちょうちん屋権右衛門一家の身内
赤根大五郎:ちょうちん屋権右衛門一家の用心棒
お種:文吉の母
大串甲蔵:お先手組組頭
邦之助:甲蔵の嫡男
お静:柳橋の芸者
不死身の熊:お種母子の近くに住むならずもの
泉州屋波右衛門:浜町の米問屋
石岡輝四郎:両国矢ノ倉の甲源一刀流町道場主
お柳:柳橋の料理屋青柳の女将

物語●「春の竜」高祖頭巾の女が仕えている奥方の夢判断をしてもらいに、からす堂を訪れる…。「女の値打ち」からす堂のもとに、鴻ノ巣から男が縁談について見てもらいに夜旅をしてやってきた…。「御存知からす堂」ふとしたことから、からす堂は田舎出の若い浪人者・二ノ宮豊作を弟子にすることになる…。

目次■江戸姿からす堂(第一話 春の竜/第二話 女の値打ち)|御存知からす堂

装画:国貞(静嘉堂文庫提供)
装丁:玉井ヒロテル
解説:江戸おもしろ事典・瓦版 松永義弘
時代:特定されず
場所:小柳町、八辻ガ原、浜町、馬喰町、柳橋、今戸ほかほか(春陽文庫・695円・78/12/20第1刷・96/08/20第42刷・450P)
購入日:97/09/06
読破日:98/07/18

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