源内先生舟出祝
(げんないせんせいふなでのいわい)
山本昌代
(やまもとまさよ)
[人物]
★★★☆☆
♪今まで、平賀源内というと、昔、NHKで観た「天下御免」の教育的効果と、「土用の丑」で知られるコピーライターの草分けで、「江戸のダヴィンチ」っていう感じかな…。
本書では、源内の奇人ぶり、天才のメッキ落しを嫌みにならない洒脱な語り口で綴っている。以前に脱疽の歌舞伎役者・沢村田之助を描いた『江戸役者異聞』(河出文庫)を読んだが、山本さんは、戯作者的な雰囲気をもった作家だと思う。
源内先生からみた玄白君、玄白君からみた源内先生、また、弟子からみた源内先生、源内先生からみた周りの人たち。それぞれの視点からの見方のズレが、人間性を鋭く洞察していて面白い。
高橋克彦さんの浮世絵師殺人事件シリーズに出てくる秋田南画と、源内先生が絡む秋田藩の南蘋画って同じものかな?
ところで、河出文庫の奥付のクレジットでは、カバーデザインと表紙デザインとカバー装幀が分かれているが、どう違うのだろうか? 気になるなぁ。
物語●平賀源内の謎の多い晩年を、同時代人の杉田玄白や司馬江漢らとの交流の中に描く…。さて、源内先生の船出はいずこへ…。
目次■源内先生舟出祝/殺人という業績―井坂洋子