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深川駕籠

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深川駕籠

深川駕籠

(ふかがわかご)

山本一力

(やまもといちりき)
[市井]
★★★★

深川の駕籠舁き・新太郎を主人公とした時代小説。新太郎は臥煙(火消)の纏振りだったが、ケガがもとで高所恐怖症になり臥煙を止め、その相肩の尚平は安房勝浦の漁師だったが、草相撲で網元の息子にケガを負わせてしまい、駕籠舁きになった。駕籠舁きが主人公ということで、その自慢の脚にスポットを当てた話を連作形式で綴った市井人情小説だ。時間までに約束の場所に早駕籠が着けるかどうかを描いたり、超重量級の相撲取りを乗せた駕籠で、川船と速さを競ったりなど、スリリングな展開の話が描かれている。

クライマックスは、深川から高輪大木戸までの一里半を往復する駆け比べで、復路では大川を泳いで渡るという趣向が凝らされてた。この駆け比べに参加するのが、新太郎、千住の駕籠舁きの寅、飛脚の勘助、鳶の源次の四人。その一着を当てる単勝と一着、二着を当てる連勝の勝ち札まで発売され、深川の町は大いに盛り上がることに。

新太郎や尚平のほかにも、何かと二人とぶつかる千住の寅や、一筋縄ではいかない偏屈爺の家主の木兵衛、鳶の親方辰蔵、今戸の渡世人の芳三郎など魅力的な登場人物たちがいる。また、他の作品でおなじみの損料屋の喜八郎や料亭江戸屋の女将秀弥なども登場して、山本ファンにはうれしいところだ。

ブログ◆
2006-05-12 江戸のトライアスロン

物語●「菱あられ入谷鬼子母神で、深川の駕籠舁きの新太郎と尚平は、鳶の源次に呼び止められて、鬼子母神を入谷と間違えた草加の米とあられ問屋の手代を雑司が谷まで乗せていくように頼まれた。しかも、鳶の辰蔵と八ツまでに送り届ける賭けまでして、早駆けすることになった……。「ありの足音」新太郎と尚平は、家主の木兵衛から、同じ長屋に住む正之助が筑波山で採ったきのこを江戸まで運ぶ仕事を命じられる……。「今戸のお軽」新太郎と尚平は、毎月十五日に文銭の詰まった箱と木兵衛とを、深川から入谷まで運ぶ決め事があった。その帰りに、坂本村の飯屋に寄った……。「開かずの壷」木兵衛が面倒をみて、武家奉公がかなった孤児の順吉が奉公先で大きなしくじりをしたという……。「うらじろ」いつものように文銭の箱と木兵衛を運んでいた新太郎と尚平の駕籠が神田川土手で、匕首をもった三人のならず者に襲われた……。「紅白餅」新太郎、飛脚の勘助、千住大木戸駕籠の寅、鳶の源次の四人が駆け比べをすることになり、深川の町は一枚二十文で買える勝ち札人気で盛り上がっていた……。「みやこ颪」南町奉行所同心の大野清三郎は、木兵衛におのれの面目を潰され、十手持ちを操っての意趣返しを考えていた……。

目次■菱あられ|ありの足音|今戸のお軽|開かずの壷|うらじろ|紅白餅|みやこ颪|解説・細谷正充

カバー装画:原田維夫
カバーデザイン:かとうみつひこ
解説:細谷正充

時代:天明七年(1787)正月
場所:入谷鬼子母神、護国寺、雑司が谷鬼子母神、深川黒江町、松戸宿、筑波山、矢切の渡し場、中川舟番所、上大島町、坂本村、今戸、高橋、神田川土手、下谷坂本町二丁目、富岡八幡宮ほか

(祥伝社文庫・638円・2006/04/20第1刷・412P)
購入日:2006/05/05
読破日:2006/05/10

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