武蔵野水滸伝 上・下
(むさしのすいこでん・じょうげ)
山田風太郎
(やまだふうたろう)
[伝奇]
★★★☆☆
♪千葉周作、男谷精一郎、島田虎之助ら幕末の剣豪たちが登場する、伝奇もの。
北町奉行遠山左衛門尉の次男、銀五郎と南町奉行鳥居甲斐守の娘、お耀が、腐敗しきった関八州の大掃除のために、当時の剣客を結集させた。そのメンツが凄い。千葉周作とその倅、奇蘇太郎、斎藤弥九郎とその倅、新太郎、伊庭軍兵衛、拳骨和尚(物外)、大石進、秋山要助、浅利又七郎、樋口十郎左衛門、男谷精一郎、勝小吉、桃井春蔵、高柳又四郎、島田虎之助、平手造酒。彼らがバトルを繰り広げるばかりでなく、国定忠治、清水の次郎長、武居の吃安、小金井の小次郎、笹川の繁蔵、飯岡の助五郎らの同時代の侠客が関わる。さらに、オリジナルキャラクターとして妖若衆・南無扇子丸と海女のお伏が加わり、途方もないストーリーは展開してゆく。
関八州取締役になった銀五郎が、恋人のお耀に頼まれて、“三年大精進”という父親ばりの刺青を彫らされてしまうのが面白い。
物語●乱を起こし潜伏していた元大坂天満与力・大塩平八郎は、隠れ家で、大振袖に精好(せいごう)の袴という若衆姿の美少年・南無扇子丸(なむせんすまる)と会い、ほかの人に憑くという妖術を見せられた…。
その四年後、江戸和田倉門外辰ノ口評定所に、八人の八州廻りが検察の旅から戻ってきた。彼らの前に現われたのは、南町奉行鳥居甲斐守の娘、お耀と、北町奉行遠山左衛門尉の倅、銀五郎だった…。
目次■目次なし