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甲賀忍法帖

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甲賀忍法帖
甲賀忍法帖

(こうがにんぽうちょう)

山田風太郎

(やまだふうたろう)
[伝奇]
★★★★☆

北上さんの解説を読んで、膝をたたいた。同じことを考える人はいるものだ。そう、作品に登場する全忍法の分類のことである。作者が創出したユニークな忍法に科学的(かなりウソ臭いのが笑わせてくれる)な解説を加えて、読者を楽しませてくれるのがいい。

たとえば、伊賀の忍者・朱絹が甲賀の鵜殿丈助めがけて、全身から血のしぶきを噴出するシーン。

「古来、人間の皮膚に生ずるウンドマーレーと呼ぶ怪出血現象がある。なんの傷もないのに、目、頭、胸、四肢からふいに血をながすものであって、ある種の精神感動が血管壁の透過性を昂進させ。血球や血漿が血管壁から漏出するのだ。思うに、この朱絹は、この怪出血現象を意志的にみずから肉体に起こす事を可能とした女であったに相違ない」という具合だ。ホントにゴキゲンなおっさんである。

物語●四百年にわたる両家の宿怨を晴らすべくに、甲賀の首領の孫・甲賀弦之介と伊賀の首領の孫娘朧は、夫婦になろうとしていた。
竹千代か国千代か? 徳川三代将軍の座をめぐって、甲賀と伊賀の忍法バトルが始まったのはそんなときであった。伊賀と甲賀各10人ずつ選抜された忍者が、生死を懸けて戦い、最後に残った方に賭けた世継ぎが、次期将軍となるという、奇想天外な話だ。

カバー装画:百鬼丸
解説:北上次郎
時代:慶長十九年四月
(富士見時代小説文庫・640円・1993/03/30)
購入日:1997/01/04
読破日:1997/01/24

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