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江戸星月夜

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江戸星月夜江戸星月夜
(えどほしづきよ)
海野弘
(うんのひろし)
[ファンタジー]
★★★★

収録された作品の一話一話がO・ヘンリーの短篇集(英語の教科書などでよく取り上げられる。「最後の一葉」が有名)を思わせる、ひねりの利いて、ソフィスケイトされた時代小説短編集。

資生堂の広報誌に連載されたということで、若い女性を意識して書かれているためである。時代小説の入門書としておすすめの一冊。しかも、各話には、2つずつコラムがついていて、作品の鑑賞の手引きとなっている。

「蜆取り」、「心太売」や「菊作り」など、しみじみとした味わいがある。しかも、江戸の風物を巧みに取り入れていて、季節感もでている。

物語●「異国の王女」常陸の海岸に漂着した、円盤状の船の中に閉じ込められた異国の王女に恋した漁師に物語。「蜆取り」蜆を取りに来た男と武士の交流。「遊女の妻」堺の商人が、集金の帰りにふと立ち寄った宿で一人の遊女に会う。「「幽霊の敵討」湯治に来た武士が、山中で一人の若衆と出会い、その屋敷に招かれた。「火附盗賊改」鬼平の陰に、もう一人の火附盗賊改役がいた。「三味線芸者」その芸者が来ると、一座はいつも陽気になった。「髪結」町で評判の髪結いがいた。「妖怪画家」信州で、妖怪を描き続ける男がいる。「荷い風呂」風呂をかついて、江戸の街を流して歩く男がいた。「足洗い男」吉原に出かけた二人の客が、足洗いの男と会う。「はしご売」弥次郎兵衛と北八の二人組は京でとんでもない買い物をする。「山師」耳で話す男が見せ物小屋に出ていた。「歌道師範」歌の好きな女房が、離縁されそうになり、それを嘆く歌を詠む。「町医師」西洋医学に憧れる若い医師がいた。「ふとんかぶり」名古屋で、邪教がはやっていた。「紙屑買」古紙を買って歩く男が悩んでいた。「大工と猫」江戸に猫好きの大工がいた。「針金売」針金を売り歩く男にはもう一つの仕事があった。「陸尺」駕籠かつぎの人足たちの親方が夢を見た。「心太売」病床の娘が心太売に恋をした。「親孝行」享保の改革以来、親孝行が奨励された。「菊作り」渋谷金王八幡宮に菊作りの名人がいた…。

目次■異国の王女|蜆取り|遊女の妻|幽霊の敵討|火附盗賊改|三味線芸者|髪結|妖怪画家|荷い風呂|足洗い男|はしご売|山師|歌道師範|町医師|ふとんかぶり|紙屑買|大工と猫|針金売|陸尺|心太売|菊作り|親孝行

装画:鈴木春信「夜雨神詣美人」(東京国立博物館所蔵)
(河出書房新社・1700円・1997/03/21第1刷・253P)
購入日:98/06/02
読破日:98/06/08

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