捕物帳もどき
(とりものちょうもどき)
都筑道夫
(つづきみちお)
[ユーモア]
★★★☆☆ [再読]
♪15年ぶりぐらいに再読した。ストーリーをほとんど忘れていた。当時は、時代小説を全然読んだことがない状態で、よく読んだわけだが、それなりに楽しめた記憶がある。「名探偵もどき」に続くもどきシリーズの第2弾だ。この後に、『チャンバラもどき』があるそうだが、そちらは読んでいない。チャンスがあればぜひ読みたい。
都筑さんというと、職人かたぎの推理小説家だが、本作品でもその技をいかんなく発揮している。「半七捕物帳」のパロディのような語り口(明治時代、書生さんが引退した幇間から聞き書きするという)で、各編とも綴られている。江戸五大捕物帳といわれる、半七・平次・右門・佐七・若様に、作者がお気に入りの顎十郎を加えてそれぞれの探偵役の特徴をうまく捉えている。
探偵役が遊女屋の若旦那ということから、事件はすべて吉原がらみである。その中で、「半七もどき」では、『半七捕物帳』の吉原を舞台にした「春の雪解」の裏返しのような話になっており、本当に上手い。
物語●吉原の遊女屋唐琴屋の若旦那・丹次郎は、変な病気をもっていた…。古今の捕物名人になりきってしまうのである。そのため、お目付役の幇間・梅廼家卒八が子分として、あちこちから事件を見つくろってくるのだった…。
目次■平次もどき|右門もどき|佐七もどき|若様もどき|顎十郎もどき|半七もどき|解説 田口実