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剣客春秋 女剣士ふたり

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剣客春秋 女剣士ふたり

(けんかくしゅんじゅう・おんなけんしふたり)

鳥羽亮

(とばりょう)
[剣豪]
★★★☆☆☆

『里美の恋』に続く、千坂藤兵衛・里美父娘が活躍するキュートなチャンバラ時代小説「剣客春秋」シリーズ第2弾。

活劇スタイルで、千坂藤兵衛の剣術の冴えと、女剣士千坂里美の成長を描く、異色剣豪小説シリーズに、もう一人の女剣士が登場を予感させるタイトルに、がぜん食指が動く。その千坂親子の前に、敵討ち志願の少女とその弟が現れる。里美は二人の同情し、恋心をもつ若い浪人・吉野彦四郎と一緒に、何とか敵討ちを成功させたいと望むが、その一方で、彦四郎とその少女との親密なそぶりを嫉妬したりもする。武張ったところばかりでなく、少女らしい微妙な女心が描かれていて面白い。

島田姉弟の敵討ちには浜島藩の権力抗争も絡んで物語はもつれる。今回の敵役となる稲葉十三郎の秘剣・山颪(やまおろし)という秘剣も工夫されていて凄味があり、どのように千坂父娘が対決するのか興味が尽きない。ちなみに浜島藩は、三河の国にあり、東海道の赤坂宿から三里ほどの位置にあるという設定の架空の藩。

今回、新キャラクターとして、甘酒売りの弥八が登場し、重要な役割を果たす。北町奉行所臨時廻同心・坂口主水の手先の岡っ引である。

物語●神田豊島町で剣術道場を開く、一刀流中西派の千坂藤兵衛は、元町の町屋の空地で、武士の死骸の奇妙な傷を見た。それは異様な刀法による刀傷のように思われた。

その数日後、千坂道場に旅姿の十五、六歳の娘と十歳前後の男の子がやってきた。藤兵衛の昔の弟子であった浜島藩家臣島田宗一郎の娘の初江と嫡男の松太郎である。二人は、父を稲葉十三郎という者に斬り殺され、その敵討ちのために旅をし、稲葉が江戸に潜伏しているという噂を耳にして、江戸に来て、藤兵衛に助太刀を願い出た…。

目次■第一章 姉弟/第二章 浜島藩騒動/第三章 山颪/第四章 危機/第五章 敵討ち/解説 縄田一男

カバーイラスト:西のぼる
カバーデザイン:平川彰(幻冬舎デザイン室)
解説:縄田一男
時代:天保九年(1838)1月晦日
場所:麻布竜土、本所横網町、元町、神田豊島町、小石川、南茅場町、呉服町、十軒店本石町、本所相生町、本郷、西紺屋町ほか
(幻冬舎文庫・533円・04/06/10第1刷・270P)
購入日:04/06/16
読破日:04/07/02

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