雪姫世直し帖 《春色炎の舞》
(ゆきひめよなおしちょう・しゅんしょくほのおのまい)
(たにこうせい)
[捕物]
★★★
♪1989年4月、講談社より刊行された『雪姫七変化』を改題したもの。
谷さんというと、学生の頃に読んだ『喜望峰』や『マラッカ海峡』などの海洋冒険小説のイメージが強く、時代小説というと、違和感を感じていまう。ずいぶん前から、海洋冒険ものは書かれなくなったことは知っていたが、本作品を読んで作風がまったく違っているのでビックリした。
主人公の雪姫が、鏡心明智流・二代目桃井春蔵直一の門弟という設定であるが、桃井道場が舞台の一つとなって出てくるのは興味深い。
縄田さんの解説によると、「浮世絵師・紫頭巾」と「琴姫七変化」を足して二で割ったものに、「鞍馬天狗・角兵衛獅子」のスパイスを加えたものといえそうだ。>
物語●田沼意次の賄賂政治の全盛期、あるときは美人芸者、奇術師の蛍火乱紅、またあるときは謎の剣士紅頭巾と、艶やかに変身をとげ、江戸の悪を懲らしめる美貌の雪姫の正体とは…。
旗本のお嬢様を妾に狙う、破戒坊主や、淫らな役者遊びにふける大奥の老女などに、雪姫の剣が向けられた…。
目次■第一章 破戒坊主/第二章 角兵衛獅子/第三章 老女浅丘/第四章 危うし、紅頭巾/解説 縄田一男