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白浪五人男

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白浪五人男
白浪五人男
(しらなみごにんおとこ)
鈴木輝一郎
(すずききいちろう)
[ピカレスク]
★★★☆☆☆

あとがきによると、「…このところやや硬めの歴史小説が続いて若干肩も凝ったせいもあって、『白浪五人男』では“食って斬って姦りまくる”という、娯楽時代小説の基本に立ち返ることにした」と書いている通り、破天荒な作品。

もとになっている『白浪五人男』は、河竹黙阿弥作で、日本左衛門、弁天小僧、忠信利平、南郷力丸、赤星十三郎の五人のことで、池波正太郎さんの『雲霧仁左衛門』(新潮文庫)のモデルともいわれている。ちなみに、本作品では、同じ池波さんの『おとこの秘図』の主人公である徳山五兵衛が、日本左衛門の敵役として登場するのも楽しい。

TVなどのイメージのせいか、日本左衛門というと、中年のギャングスターを考えていたが、実際は、尾張藩の七里役所(飛脚の中継所)の人夫・浜島友右衛門の子で、五尺八寸の長身の美男で、お縄についたときには29歳だったという。

物語●延享元年十月、日本左衛門の一党は、豊橋宿の材木商・井筒屋を襲撃した。大胆不敵にも襲撃を前に、豊橋宿の代官所に盗みの予告を入れ、挑発していた。襲撃の前に、三枝高之助ら三人の無宿者が一党に加わった。押し込むと、日本左衛門は、「義賊」を標榜し、不善をただし、租税を徴収すると宣言した。また、日本党の掟として、「火の用心」と「犯さず殺さず傷つけず」を命と心得ていた。しかし、…。

目次■壱 東海賊徒班揚幕(とうかいぞくとむれのあげまく)/弐 江戸城緑林蔦絡(えどじょうぬすみのつたがらみ)/参 白浪稿花紅柝頭(しらなみぞうしはなきのかしら)/あとがき

装画:百鬼丸
装幀:藤井美樹
本文挿画:浅賀行雄
時代:延享元年(1744)
場所:三州豊橋、江戸・神田鍛冶町、駿府、神田明神下、江戸城ほか
(双葉社・1,800円・99/07/01第1刷・343P)
購入日:99/07/03
読破日:99/08/08

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