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美男忠臣蔵

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美男忠臣蔵美男忠臣蔵
(びなんちゅうしんぐら)
鈴木輝一郎
(すずききいちろう)
[忠臣蔵]
★★★★☆☆

タイトルの勝利だな。この時期とっても気になる「忠臣蔵」に「美男」という語を付けたネーミングが見事。

『国書偽造』のときも感じたが、鈴木さんの法廷ものはうまい。論理展開が現代風で理解しやすい。本作品でも、柳沢吉保が検事で、稲葉丹波守正通が弁護人で、綱吉が判事といった見立てが面白い。

この作品を読むまでは、綱吉というのは徳川十五代の中で最悪の将軍と思っていたが…。また、「忠臣蔵」ものというと、どうもへそ曲がりのせいか、判官びいきのせいか、心情的に吉良方を応援するのだが…。ともかく、いままでの「赤穂事件」の解釈としてはいちばん納得のいく描き方がされていて嬉しい。

物語●元禄十五年十二月、柳沢美濃守吉保は絶頂期にあった…。綱吉が目指す絶頂とは、「武士が血を流さざるを誇れる世を作ること」であった…、そんななかで、旧赤穂藩の大石内蔵助以下四十七人が吉良邸へ討ち入った…。

目次■絶頂/検証/終結

装画:深津真也
装幀:菊地哲男
時代:元禄十五年十二月
舞台:本所松坂町、江戸城、久松松平家三田中屋敷ほか。
(講談社・1600円・97/11/5第1刷・317P)
購入日:97/11/23
読破日:97/12/7

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