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飢狼の剣

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飢狼の剣
飢狼の剣
(きろうのけん)
鈴木英治
(すずきえいじ)
[剣豪]
★★★★☆

『義元謀殺』で注目される新進時代小説家、鈴木さんの剣豪ミステリー。

若い浪人吉見重蔵のキャラクター造型が新鮮。その容貌は「鼻筋の通った精悍な面がまえをしているが、額の左にある小さな傷跡が人相にすごみを与えていた。形はいいが酷薄そうな薄い唇…」「二十七、八といったところか。何人もの人を殺してきた目つきに感じられた。いや、まちがいなく殺している。暗闇のなかでも餓狼のような光を放つ瞳の色は、これまで見てきた幾多の犯罪人と比しても際立っていた」などと描かれている。人を殺すことに大義名分や倫理観をふりまわさない現代風のキャラクターで、物語の展開を複雑にしている。

陰外流の達人で、そのチャンバラシーンも凄味がある。逐電した朋輩の消息を追う旅で、誘拐事件や山賊の襲撃、お家騒動に巻きこまれる重蔵の活躍ぶりは…。

物語●町奉行所同心清水角兵衛は、若い浪人に千人神社へ呼び出されて殺された。大友屋の番頭万蔵のもとに文が届けられ、久左衛門を誘拐し、身代金を要求するものだった。文を渡した男は清水を殺した若い浪人だった。万蔵は久左衛門の若い妻おあきや目明しの伊平と相談し、二千両の身代金を用意し、届けることになった…。

目次■なし

装画:百鬼丸
装幀:野津明子(芦澤泰偉事務所)
解説:細谷正充
時代:明記されず。享和(1800年代初め)頃か
場所:陸奥の某所(架空)
(ハルキ文庫・743円・01/06/18第1刷・367P)
購入日:01/06/16
読破日:01/07/02

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