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写楽まぼろし

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写楽まぼろし
写楽まぼろし
(しゃらくまぼろし)
杉本章子
(すぎもとあきこ)
[芸道]
★★★★☆

最近、女性の歴史・時代小説作家が気になる。澤田ふじ子さんや皆川博子さん、北原亞以子さん、そしてこの杉本章子さんも。

写楽の正体探しは、『写楽百面相』(泡坂妻夫・著)など、いろいろな形で描かれているが、本作品での描き方もユニークだ。これ以上はネタばらしになるので書かないが…

この本では、解説の白石さんが、「時代小説のどの背景に関しても、これは共通していえることで、有名人物を作中に点綴して読者を倦かせない手腕は、大切な才能の一つである」と書いて、時代小説の見方を教えている。この作品では、蔦屋重三郎や写楽はもちろん、歌麿、恋川春町、平賀源内、大田南畝、山東京伝、中村仲蔵ら、安永、天明期の文化人が続々登場する。

処女長編だが、江戸文学の研究家らしく、戯作と吉原の風俗や歌舞伎の様子に関しての描写がきめ細かくて見事だ。

直前に読んだ『夕立太平記』と、なんとなく時代が近いなあと感じながら読んでいたが、安永元年の目黒行人坂の大円寺から出火した大火が描かれていてびっくり。

物語●若き日の蔦屋重三郎は、〔肴や五郎兵へ〕近くの暗がりで、髷を切られた女おしのを助け、成り行きで一夜をともにする。「吉原細見」の小売店になりたくて、地本問屋鱗形屋を訪れ、そこで主人孫兵衛の内儀であるおしのと再会する…。蔦屋重三郎の半生と写楽の謎を描く。

目次■髪切り/おしの/暗影/密告/不吉な家/赤い糸/ふたりだけの祝言/通油町/大当たり/出会い/絆/おれの写楽/あとがき

カバー:花村 広
解説:白石一郎
時代:明和六(1769)年
(文春文庫・447円・89/01/10)
購入日:97/5/4
読破日:97/5/19

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