[amazon_image id=”419860987X” link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]海の夜明け―日本海軍前史[/amazon_image]
海の夜明け 【日本海軍前史】
(うみのよあき・にほんかいぐんぜんし)
(しらいしいちろう)
[海洋]
★★★★
♪以前から、「海の日」に合わせて読もうと思っていた作品。海洋小説といえば、やはり何といっても白石一郎作品だ。長崎の海軍伝習所の様子が克明に描かれていて、サブタイトルにあるように「日本海軍前史」として興味深く読めた。
外圧に対する幕閣たち=日本の政治家たちの混乱ぶりと国際感覚の欠如、対応のまずさ。それと対比してのオランダ人教官たちの西洋文明を伝えようとする親切心と献身的な教育ぶりが印象に残った。「歴史の相殺作用」ということを、ときどき感じることがある。たとえば、関ヶ原の戦いで貧乏くじを引いた島津と毛利が、維新では勝者になることもその一つ。鎖国化の独占的な交易で、莫大な利を得たオランダが、幕末において幕府の海軍創設に力を貸したこともそんな「相殺作用」ではないだろうか。
塩飽諸島出身の船乗りが活躍する海洋小説としては、二宮隆雄さんの『海援隊列風録』(角川書店)が思い出される。残念というか、当然というか、主人公は異なるが、勝麟太郎など、共通する登場人物もいた。
物語●安政二年夏、塩飽本島の人名年寄(にんみょうどしより。島の自治の代表者)四人が、大坂町奉行から呼び出された。用向きは、公儀が日本海軍を創設し、その乗組員として三十人の若者を差し出せということだった。庄屋の道楽息子・原田仙三郎、その下男同然の鶴松、廻船問屋の息子で千石船の表仕(おもてし。舵取り兼航海士)・丸屋辰之助らは、大坂町奉行所差し回しの酒樽廻船で、海軍伝習所が創設される長崎の地に向かった…。
目次■塩飽諸島/海軍伝習/猛練習/航海伝習/咸臨丸/さらば長崎
装画:三井永一
装幀:川畑博昭
時代:安政ニ年(1855)夏
場所:塩飽本島、長崎、鹿児島、対馬、江戸・鉄砲洲ほか
(徳間書店・1,700円・99/03/31第1刷・359P)
購入日:99/03/21
読破日:00/07/20
装幀:川畑博昭
時代:安政ニ年(1855)夏
場所:塩飽本島、長崎、鹿児島、対馬、江戸・鉄砲洲ほか
(徳間書店・1,700円・99/03/31第1刷・359P)
購入日:99/03/21
読破日:00/07/20