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おんな舟 十時半睡事件帖

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おんな舟 十時半睡事件帖

(おんなぶね・とときはんすいじけんちょう)

白石一郎

(しらいしいちろう)
[武家]
★★★★

久々の「十時半睡」シリーズ第6弾。タイミングが悪くて、単行本時には、未読なので、文庫化はうれしい。

福岡藩の江戸藩邸で新たに採用した十人目付の制度が軌道に乗り、江戸総目付を勤める十時半睡(とときはんすい)は、赤坂溜池近くにある福岡藩の中屋敷の藩邸暮らしに見切りをつけて、深川の小名木川近くの海辺大工町の新屋敷へ引っ越す。前作以上に、江戸(とくに本所深川)の風景が作品に取り込まれて、興趣を誘う。また、新キャラクターとして、深川黒江町で料理屋牡丹を営む・お波が加わり、彩りを添える。

作品の舞台である深川を探索してみたくなった。主人公の半睡も海に近い深川に住むことによって、故郷の福岡を思い出し、リフレッシュしたように思われ、以前ほど老いが目立たなくなった。半睡さんには、もうしばらく江戸にいてもらいたいものだ。

物語●「空っ風」半睡は、空っ風の吹く中で、部下で深川材木町の町宿に住む、二宮三太夫らと深川に火事見物に出かけた…。「御船騒動」福岡藩の御用船が遠州灘で他船と衝突事故を起こした…。「小名木川」福岡藩の勤番侍が、非番のときに釣りを通して裕福な隠居と知り合った…。「おんな舟」深川に移り住んだ半睡は、足となる舟ができるまで藩邸へ行かぬと言って周囲を困らせた…。「駈落ち者」半睡の舟に、捨て子があった…。「おんな宿」半睡の屋敷の住み込み女中のお仙が怪我をし、臨時の女中がやってきた…。「叩きのめせ」退屈をもてあましていた半睡に、三太夫は、海釣りを勧めた…。

目次■空っ風|御船騒動|小名木川|おんな舟|駈落ち者|おんな宿|叩きのめせ|解説

カバー装画:西のぼる
解説:磯貝勝太郎
時代:明記されず
場所:赤坂中屋敷、本所北割下水、鉄砲洲、赤坂溜池、赤坂田町一丁目、海辺大工町、黒江町、深川佐賀町ほか。
(講談社文庫・514円・00/09/15第1刷・277P)
購入日:00/09/15
読破日:00/10/22

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