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武蔵を仆した男

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武蔵を仆した男
武蔵を仆した男

(むさしをたおしたおとこ)

新宮正春

(しんぐうまさはる)
[短編]
★★★☆

『水の砦 福島正則最後の闘い』『悪党の裔』と並行して読んだせいで、こんがらがって、もうちょっとで頭の中がパニックになるところだった。この本は、装丁の勝利。阪神タイガースのユニフォームを着てバットを構えている宮本武蔵が、蓬田さんの筆で描かれている。これだけでワクワクしてくる。

「武蔵を仆した男」巌流島の決闘で敗れた小次郎の門弟である父の敵を討つために、必殺技虎切をもって武蔵を付けねらう平川小平太。「長良川の決闘―斎藤道三」道三は美濃をまとめるために息子義竜を実子でないと宣言したが…。「かげろうの剣」奥山流の周防主馬之介は、山県昌景に捕らわれている、主筋の奥平貞昌の弟と実弟、許婚らの救出に向かったが…。「霞の剣」上松浦党の大杉千太は、秀吉臣下の剣の遣い手源信斎(小笠原長治)に立ち向かうが…。「井手ノ判官の死」天流井手ノ判官斉藤伝鬼坊は、天覧を果たし官位を授けられて。故郷に錦を飾るのだが…。「ピンチヒッター・武蔵」元報知新聞のジャイアンツ担当記者らしい野球の場面描写が見事。

物語●この作品集の中の「板垣信方の首級」に登場する堀ノ坊という僧は、実は堀内投手(V9時代のジャイアンツのエース)に触発されて作り上げた人物だが、こぶし大の石をカーブさせて相手を仆す印地打ちの使い手は、きっと戦国の昔にもきっといたはずだと考えている。ただし、板垣信方の部下だったオオマクレーの鳥若は、実在の人物である。曲淵庄左衛門吉景こと鳥若が、のちに徳川家康に仕えて七十六歳まで生きたのもフィクションではない。(中略)このささやかな作品集は、そういった必殺技のプロたちに捧げたオマージュでもある(著者あとがきより)。

カバー装丁:蓬田やすひろ
解説:菊池仁
時代:表題作 寛永十四年(1637)
(ベネッセ・福武文庫・550円・1995/11/10)
購入日:1997/03/02
読破日:1997/03/15

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