[amazon_image id=”4167551071″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]上野介の忠臣蔵 (文春文庫)[/amazon_image]
上野介の忠臣蔵
(こうずけのすけのちゅうしんぐら)
(しみずよしのり)
[忠臣蔵]
★★★★
♪忠臣蔵というと、最近、吉良側に肩入れすることが多い。判官びいきと、吉良側の視点から描かれた忠臣蔵を読む機会が多いせいかもしれない。いわゆるステレオタイプな忠臣蔵像は、歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」をベースに、戦前からの道徳教育と儒教思想により増幅されて形成されたのものだと思う。
ところが、現代人の視点から見ると、赤穂浪士たちの活躍ぶりが、大石内蔵助というリーダーの駆使するマーケティング的な手法による成功のように思えて仕方ない。世論操作、情報収集と攪乱、伝播、広報、プレゼンテーション、資金調達、人材掌握、登用、そのままビジネスに援用できるヒントがいっぱい見つかる。こんな大石の敵役に引っ張り出された吉良は悲劇である。本書を読んでいると、8対2ぐらいで浅野側が悪いんじゃないかと思えてならない。
ともかく、300年に及ぶ吉良悪人説を一掃するようなスカッとした忠臣蔵ものを読んでみたいものだ。
物語●宮迫村の百姓の子、十六歳の藤作(後の清水一学)は、剣術の技量を買われて、お国入りした吉良上野介義央の前に呼ばれて、侍に取り立てられた…。
目次■第一章 一学/第二章 上杉家/第三章 高家/第四章 饗庭塩/第五章 呉服橋屋敷/第六章 元禄十四年/第七章 刃傷/第八章 隠居/第九章 元禄十五年/第十章 襲撃/第十一章 その後/参考文献/解説 縄田一男