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芳年冥府彷徨

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芳年冥府彷徨

芳年冥府彷徨

(よしとしめいふほうこう)

島村匠

(しまむらしょう)
[幕末]
★★★★

第六回松本清張賞受賞作。時代小説作品が賞を取るのはファンとしてうれしい。選考委員の一人、高橋克彦さんが、「絵師を小説に登場させるには勇気が要る。活字でその人間の仕事を説明するのが大変だからだ」というコメントが印象的。

主人公の月岡芳年は、上野における戦いを描いた錦絵「魁題百撰相」などの作品で知られる、幕末から明治にかけて活躍。残酷画の第一人者で、血と狂気の絵師と呼ばれた。

絵師の心情と個性、当時の江戸の世情、黒頭巾の男の謎がバランスよく描かれていて最後まで一気に読ませる。

物語●見る者を引き込んでしまう力を持った絵を描きたい、それには、「心」を描かなくてはいけないと考えていた、若き日の絵師・月岡芳年。 江戸に彰義隊ができ、幕府軍と薩長軍の対決が目前に迫り、世間が大騒ぎしているある夜、不忍池のほとりで、芳年は、黒頭巾の男が人を斬るのを目撃し、その殺気を描きたいとの一念に取りつかれてしまう…。

目次■なし

カバー装画:安里英晴
装幀:石崎健太郎
時代:慶応四年
場所:根津権現、上野ほか
(文藝春秋・1,333円・99/06/30第1刷・237P)
購入日:99/06/26
読破日:99/07/03

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