宮本武蔵
(みやもとむさし)
司馬遼太郎
(しばりょうたろう)
[剣豪]
★★★☆☆
♪本書は、著名作家による競作シリーズ「日本剣客伝」の一作として発表され、朝日文庫『日本剣客伝・2』に収録されていたものを独立させたもの。
宮本武蔵というと、どうも勝ちすぎるイメージが強く、共感を抱きにくいキャラクターだった。最近、ようやく、その武蔵に興味が持ててきた。コミック『バカボンド』のおかげかもしれない。そんな折に、司馬さんの本が発行され、早速読んでみた。1967年に書かれたこの作品は、意外なほど淡々と、武蔵のエピソードを時代順に綴っている。余分なものがないだけに、ストレートに武蔵の生き方、事跡がよくわかり、入門者にはありがたいガイドだ。
そろそろ、吉川英治版の『宮本武蔵』を読むことにしよう。
物語●美作国讃甘郷宮本村にうまれた武蔵は、幼い頃、老父・平田無二斎から兵法の手ほどきを受けた。十三歳にして有馬喜兵衛という兵法者をうち殺した
以後、試合うこと六十余度、勝利を得ざることなし。剣の道を極め、兵法者の頂点に立っていく武蔵を描く。
目次■その生い立ち/吉岡兵法所/一乗寺下り松/宝蔵院流/異種試合/夢想権之助のこと/巌流/燕を斬ること/京の日々/小倉/山桃/決闘/巌流島雑記/大坂ノ陣/北条安房守/晩年/巻末エッセイ 瀬川智子