(こうみょうがつじ)
(しばりょうたろう)
[戦国]
★★★☆☆☆
♪2006年のNHK大河ドラマの原作。1997年に、山内一豊を宅麻伸さん、千代を壇ふみさんで、テレビ朝日でドラマ化されている。読み始めてみると、山内一豊は、信長、秀吉、家康の三代を生き抜いたという割には、合戦や謀略などでの活躍シーンの少ない人物像。小心、誠実、律儀、愛妻家と、どこにでもいるようなキャラクターである。しかし、千代という最良のパートナーでかつ、優れたプロデューサーの存在が、彼を土佐国二十四万石の大名になるという数奇な運命をもたらしたといって過言ではない。
一豊の美点は、自らの能力、限界を知っていること、そして自身の最大の強みが千代であること。その意味では、マーケティング感覚に優れた、きわめて現代的な人かもしれない。事実、信長、秀吉、家康と常に勝ち組に加わって出世をしてきた。この点で、著者の司馬さんのお眼鏡にかなった人物といえるのかもしれない。
ブログ◆
2006-03-26 司馬遼太郎さんと「をかし」
2006-03-05 戦国武士のエリート、母衣衆
2006-03-04 大河ドラマの原作を考える
ランチェスター戦略と「功名が辻」
物語●織田信長が、尾張清洲城から岐阜に本拠を移した永禄十年九月。織田家の将士三万のほかに、信長の内室濃姫やその侍女たち、さらに将士の家族までが行列に加わり、ちょっとした「民族移動」であった。その行列の中には、織田家で馬廻役を務める山内伊右衛門一豊の姿もあった。伊右衛門は、トッパイの兜に、粗末な桶皮胴の具足をつけ、剥げ槍をかかえ、馬は脚がみじかく、ひどく老いぼれていた。「ひどいなりの侍じゃな」と、沿道の百姓たちからひそかな嘲笑を送られてた。しかし、伊右衛門は、縁談が決まりまだ見ぬ嫁の千代のことで、ときめくような期待でふくれていた。……。
目次■嫁の小袖/戦場/空也堂/姉川/唐国千石/長篠合戦/乱世の奉公人/十両の馬(以上第一巻)|鳥毛の槍/賤ヶ岳/家康/秀吉/春日遅々/掛川六万石/伏見桃山(以上第二巻)|虫売り/淀のひと/醍醐の花見/雲満つ/東征(以上第三巻)|東征(承前)/大戦/再会/浦戸/種崎浜/あとがき/解説 永井路子(以上第四巻)
Image:TNM Image Archives
Source: http://TnmArchives.jp/
カバーデザイン:斎藤深雪
解説:永井路子
時代:永禄十年(1567)九月十八日
場所:岐阜、長浜、姉川、長篠、安土、姫路、大坂、長浜、掛川、伏見、醍醐、大坂、小山、尾張、岐阜、関ヶ原、土佐ほか
(文春文庫・(一)552円・05/02/10第1刷・06/01/20第9刷・313P、(二)543円・05/02/10第1刷・06/01/20第9刷・347P、(三)543円・05/03/10第1刷・06/01/20第8刷・336P、(四)543円・05/03/10第1刷・06/01/20第8刷・336P)
購入日:06/02/21
読破日:06/03/27