高瀬川女船歌
(たかせがわおんなふなうた)
澤田ふじ子
(さわだふじこ)
[市井]
★★★★☆☆
♪今年は、澤田ふじ子さんの作品を何作読んだだろうか。新作が多く、とても幸せな気分にさせてもらっている。最近のささやかな歓びだ。
澤田さんの市井ものといえば「橋」シリーズがまず思い出されるが、その系譜にある作品だ。ただ、本作は連作形式になっていて、一編一編の密度が濃い。一幕の舞台劇のようである。とくに「うなぎ報生」が見事。
「京の三条の旅籠の娘、年は十六その名はおとせ」で始まる高瀬川の船頭歌が効果的に使われている。船頭歌というと、鬼怒川の船頭を描いた『花盛りの渡し場』(伊藤桂一著・新潮文庫)を思い出す。
物語●旅籠「柏屋」の養女お鶴は、高瀬川で鯉を獲り、船頭弥助に叱られている少年平太を助ける。平太は、捨て子の自分を助けてくれた遊女小梅が胸を病んでいるために、鯉の生血を集めていたのだった…。川面に映える市井の人情を描く時代小説。
目次■中秋の月/冬の蛍/鴉桜/いまのなさけ/うなぎ放生/かどわかし/長夜の末日/あとがき
装幀・装画:蓬田やすひろ
時代:安永五年(1776)
舞台:京二条高瀬川沿い、上樵木町(木屋町)、斎藤町庚申堂ほか。
(新潮社・1400円・97/11/20第1刷・249P)
購入日:97/11/23
読破日:97/12/8
時代:安永五年(1776)
舞台:京二条高瀬川沿い、上樵木町(木屋町)、斎藤町庚申堂ほか。
(新潮社・1400円・97/11/20第1刷・249P)
購入日:97/11/23
読破日:97/12/8