[amazon_image id=”4198919127″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]霧の罠―真贋控帳 (徳間文庫)[/amazon_image]
霧の罠 真贋控帳
(きりのわな・しんがんひかえちょう)
(さわだふじこ)
[武家]
★★★★
♪『これからの松』に続く「真贋控帳」シリーズの第2弾。前作との連続性は薄いが、古書画を鑑定する古筆見の平蔵(宗鴎)や古筆了意は傍役で、上役の罠に嵌まり盗人の汚名を着せられた篠山藩士・土井修蔵が主人公になる。
主人公の土井修蔵の父、土井市郎兵衛が家中随一の道具目利で、寺社奉行支配の古筆家とも懇意であったという設定。また、修蔵は与謝蕪村に傾倒し、俳諧に魅せられているということで、随所に俳句や茶湯道具、画幅が登場し、文学的な要素が散りばめれていて興味深い。
篠山藩士が上役の嫉妬を買って、悲劇に見舞われる作品というと同じ作者の『大蛇の橋』を思い出す。男の嫉妬、仕事上の妬みは怖い。
物語●天明八年一月三十日、京で大火(天明の大火)があり、禁裏や仙洞御所、二条城など、市中の主立つ社寺を焼いて鎮火した。仮御所となる聖護院の警護のために、丹波篠山藩・青山下野守忠裕が、江戸詰めの家臣二百三十人を率いて、京に入った。その中にはお納戸役小頭の土井修蔵がいた。修蔵はニ十五歳で、唯心一刀流の遣い手で、道具目利きにも優れていた。京では、その修蔵を悲劇が待ちうけていた…。
目次■第一章 天明大火/第二章 闇の井戸/第三章 蝮の罠/第四章 野辺の菊/第五章 御所造営/第六章 閑吟の賊|初刊本あとがき|解説 大野由美子|澤田ふじ子 著書リスト